新書

『人は見た目!と言うけれど』見た目問題の真実は「見る側」の意識問題

「人は見た目が9割」
「第一印象は見た目で決まる」
「あなたは見た目で評価される」…

最近は見た目でジャッジされることが当然となってしまったような風潮で、「見た目が大事」とする文章が街にはたくさん溢れています。

だからでしょうか、本書『人は見た目!と言うけれど』の題名に、心が引っかかりを覚えました。

『けれど』という部分に気を取られたのは、多分良心がチクチク痛んでいたから。

私達は「本当は中身が一番大事」ということをわかっているのです。

わかっているのに語られない、蓋をするように過ごして、大事な何かが消えかけている…

今日はそんな心の奥にスポットを当てて考えてみませんか?

あらすじ

もしも明日、自分の顔に大きなキズやアザができて見た目が変わってしまったら、あなたはどうしますか?

今日と同じように、堂々と顔を上げて出かけることができるでしょうか。

これは病気や遺伝で見た目にわかる症状を抱える人達が日々直面する困難、「見た目問題」に真っ向から取り組んだ記録の本です。

当事者の視点、そして当事者を取り巻く人々の視点。

様々な目線を辿ることで、周りの人たちは当事者とどのように関わって行けばいいのか、たくさんのヒントが見えてきます。

感想

「見た目」でいじめや差別がある現実

ショックでした。

見た目で嫌なことを言われているかもしれないという予感はありましたが、まさかこんな「いじめ」、ましてや「差別」があるなんて。

この令和の時代にですよ?
驚きを通り越して怒りを感じました。

特に「差別」という言葉の強さ…私は本当に何も知らなかった。

相手のことを気使う姿勢はあったものの、そこに立ち場を変えて考えてみるというエンパシーまでは思い至ってはいなかったのです。

社会の目を変えるには

見た目と生き方が、当事者の内面に大きく影響することは想像に難くありません。見た目とは、つまり「社会の目」に見られることに他なりません。

社会の目を変えることが一番大事なことですが、実は当事者の意識改革という次元で語られるべきではない問題です。

なぜなら、偏見は見られる側ではなく「見る側」の問題だからです。

当事者以外のすべての人の意識が変わらないと問題は解決しません。

周囲の意識を変えるには、若いジュニア世代に公正な考えを持てるようなきっかけももちろん大事だと思います。

しかし、そのジュニア世代に間違った価値観を植え付けてしまったのは、大人の世代ではないかと思うのです。

大人の意識を変えない限り負の連鎖は永劫に続いてしまう…そのように思えてなりません。

では、社会の何をどうすれば、この見た目問題を解決できるのでしょうか。

私は「当たり前のことを当たり前に行うこと」なのではないかと思います。

人には礼儀をもって接する。
人のことは凝視しない。
人の悪口は言わない。
人が不快に思うことはしない、言わない。
人には誠意を持って接する。

そして相手のことを理解し、認め、共に生きてくことが出来たときに、きっと社会から偏見が無くなるのではないでしょうか。

「気にしていません」の答えは?

本書の「はじめに」の部分に、こんな問題提起があります。

当事者の方たちが学校や自治体などで講演をすると、必ずといっていいほど「私は気にしていません」と言いに来る人がいて、当事者の方達は本当にがっかりすると言うのです。

それはなぜなのでしょうか?

その答えは本の中には書いてありません。

なぜなら答えは一人ひとりが自分の答えを見つけるべきだからだ…と著者は解きます。

今回、私はこの本自体は短時間で読み終わりましたが、頭で消化し心で考え気持ちが納得するまで数日かかりました。

それくらい胸を突かれる内容でした…本当に知ることが出来てよかったと思います。

私も自分なりに答えを出しました。そしてそれを早速実践しようと思っています。

是非あなたもこの本を読んでみてください。そして周りの人達と是非共有してくれたらと思います。

一緒に読んでほしい本

『顔ニモマケズーどんな「見た目」でも幸せになれることを証明した9人の物語』

見た目に症状を持つ9人へのインタビュー記事集。大きな困難にぶつかりながら、各々の人生を乗り越えようと生きる過程が、ドキュメントとして描かれています。真正面から悩みと向き合って、苦しみをごまかさずに生きる姿が、すべての人に勇気を与えます。

 

『ワンダー Wonder』

小説では主人公オギーの具体的な外見描写は一切出てきません。周りの反応から推測するしかないのですが、オギーの内なる声に、彼の葛藤しながら成長する姿を通して、心がつながるということの尊さが伝わります。続編『もうひとつのワンダー』もオススメです。