学校図書館のしごと

2011年以前の司書資格で「学校司書」を履修するには。

2019年4月から「学校司書」のモデルカリキュラムが各大学で始まりました。
現在「司書資格」を持っている方であれば、不足分の科目を履修することによって修了証書を手にできます。
しかし、2011年以前に取った司書資格の場合は、旧カリキュラムで学んでいます。
その場合、旧科目を活かした履修はできるのでしょうか?

2019年4月から学校司書カリキュラムが始動

現在「司書」の資格は一般的に公共図書館の意味合いが強く打ち出されています。
広義において司書として学ぶべき科目は重複しているので、もちろん学校司書も習得すべき資格なのですが、実際のところ学校司書は「司書」の範囲の知識だけでは間に合いません。

そしてこのたび、2019年4月から文部科学省発表の「学校司書カリキュラム」が始動しました。
これは近年、教育の場で学校図書館がクローズアップされてきた背景もあり、新たに“学校司書として勤務する時に科目として必要な知識”として定められたものです。
現在は残念ながら資格制度としては認められていないので、受講しても修了証の類が発行されるのみですが、近い将来きっと制度化されて効力をもつ資格になるのではないかと言われています。

内容としては、学校図書館の運営管理サービスに関する科目・児童生徒に対する教育支援に関する科目の合計10科目を学ぶことになります。
注目すべきは、今回学校司書の為に新しく6科目が作られた点です。
つまり、現在司書の資格をもって勤務している学校司書は、新規に学ばない限り未修学の科目があるということです。

今までの学校司書は、日々勤務している現場で、必要に応じて学校教育に関する法令や情報資源の扱いなど独学してきました。
しかし、これから「学校司書」カリキュラムが、司書のように国家資格として認められるようになれば、科目として学ぶことが必要不可欠になります。

「学校司書」に「司書」の資格は活かせるか?

2012年以降の「新カリキュラム」司書資格ならば、不足分を履修する必要はあるが、「司書」科目と重複する部分を活かすことが出来ます。

カリキュラムを比較すると、「学校司書」の必修科目10のうち「司書」と重複する必修科目は4つ。
既に司書を取得済みの場合は、新規に設定された6科目を履修することになります。
(学校によって、科目などの定め方が多少変動します。)

「学校司書」必修科目科目名
◎学校図書館の運営・管理・サービスに関する科目学校図書館概論
図書館情報技術論
図書館情報資源概論
情報資源組織論
情報資源組織演習
学校図書館サービス論

学校図書館情報サービス論
新規科目※①
→「司書」と同一内容☆
→「司書」と同一内容★
→「司書」と同一内容★
→「司書」と同一内容★
新規科目
新規科目※②
◎児童生徒に対する教育支援に関する科目学校教育概論
学習指導と学校図書館
読書と豊かな人間性
新規科目※③
新規科目
新規科目

※①「学校図書館概論」は,司書教諭の科目「学校経営と学校図書館」を履修した場合には,「学校図書館概論」を履修したものと読み替えることも可能とする。

※②「学校図書館情報サービス論」は,司書資格の科目「情報サービス論」又は「情報サービス演習」において「学校図書館情報サービス論」の内容のうち1),5),6)の内容を含んだ科目として,この2科目の両方を履修した場合には,「学校図書館情報サービス論」を履修したものと読み替えることも可能とする。

※③「学校教育概論」は,教科及び教職に関する科目のうち,以下の内容を含む科目をすべて履修した場合には,「学校教育概論」を履修したものと読み替えることも可能とする。
教育の基礎的理解に関する科目のうち,以下の事項を含む科目。
・「教育の理念並びに教育に関する歴史及び思想」の事項を含む科目
・「幼児,児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程」の事項を含む科目
・「特別の支援を必要とする幼児,児童及び生徒に対する理解」の事項を含む科目
・「教育課程の意義及び編成の方法(カリキュラム・マネジメントを含む。)」

出典:文部科学省28文科初第1172号平成28年11月29日「学校司書のモデルカリキュラムについて(通知)」

2011年以前の司書資格にはどう対応するのか

しかし!ここで問題です。
司書と重複の科目が、既に2012年以降の「新」司書カリキュラム対応なのです。
新たな6科目は全員学ばなければならないのはヨシとして、残りの4つをどうするかです。

このうち3科目は、受講記録があれば読み替えもできます。
★図書館情報資源概論→(旧)図書館資料論
★情報資源組織論→(旧)資料組織概説
★情報資源組織演習→(旧)資料組織演習

残る1科目ですが、旧科目に相当するものが無いため新たに学ぶ必要があります。
☆図書館情報技術論→(旧)読み替えなし

つまり基本的には、2011年以前の司書資格保持者は7科目を学ばなければならないことになります。
(基本的には10科目中7科目ですが、新規科目でも読み替えが出来るものもあるので上記※①~③を参照下さい。)

学校司書カリキュラムを通信教育で学ぶ

現実的に学校司書として勤務しながら学ぶ場合、通信教育を選ぶ方が多いと思います。
2019年「学校司書カリキュラム」を開講している学校を紹介します。

八洲学園大学『学校図書館専門職養成プログラム』

入学時期4月、10月
出願資格特になし(大卒などの条件なし)
学費
(初期納入金)
・入学金 20,000円
・学籍管理料 12,000円
(半年毎)
学費
(学校司書カリキュラム修了までにかかる費用の概算)
・基礎プログラム 214,000円~

・応用プログラム 208,000円~

・別途教材費が必要

スクーリングの有無来校不要
決められた日時にパソコン上で授業に参加
単位取得試験来校不要
ネットから受験する
その他・文科省学校司書プログラムに沿った「基礎プログラム」

・八洲学園大学独自の発展カリキュラム「発展プログラム」

・司書課程で取得した教科の読み替え可能。

両方のプログラムを修了すると学園独自の「プログラム修了証」を発行。
:他大学で司書資格を取得している場合は、本学で全ての要件科目を修得した方に発行される本学独自のプログラム修了証は発行されません。

どのようにして学ぶのがベストか?

各大学とも、現段階はまだ試行段階といえます。
司書養成課程のある大学(短大含む)は全国に203校ありますが、その中でも学校司書養成課程をスタートさせた大学はそれほど多くありません。

国家資格でもなく、大学卒業や司書補などの受験資格の規定もない状態ですので、制度として固まるのはもう少し先かもしれません。
大学で不足分を履修するにしても、旧科目の読み替えの問題もあり、今はまだ学びやすい環境であるとは言い難い現状。
教育訓練給付制度の対象にもなっていません。

しかし、専修大学などでは平成30年に開講しているので、令和2年春には学校司書カリキュラム修了者が間違いなく誕生します。
先取りして時代の最先端で学ぶか、制度が落ち着くのを待って確実に学ぶか、ご自分の置かれている立場によっても変わってきます。
周りを見て、選択判断をすることが自分のベストタイミングになるのではないでしょうか。