話題の本

『10年後、君に仕事はあるのか?』未来を生き抜くために必要なチカラとは?

私は今、学校司書をしていますが、この職業にたどり着くまでに15年。

実は大学卒業時にバブルが弾けて氷河期1期生と呼ばれた世代です。

それでも企業に正社員として就職して、今までしぶとく仕事を続けられてきた理由をこの本に見つけ、ニヤリとしてしまいました。

この本では、これからの世の中で求められる、いや、これからの世を生き抜くために必要なチカラについて書いているのですが、それのなんと的確なこと

今後こうなるであろう、ということが、実際このコロナ禍で的中しています。

今本当に、学ぶべきこととは何か、働くということは何か。

就職を控える大学生・将来を考える高校生だけではなく、ぜひ当事者である社会人が今こそ読みたい内容です。

時代に振り回されていませんか?

目まぐるしく変わっていく情勢に流されそうになる毎日。

「AI」が代替して無くなる職業がありそうだ。
コロナで経営不振に陥る業界が出てきている。
職活動が前例のないカタチにシフトしている。
またもや就職氷河期が来るらしい。…etc

そんな情報を聞いたら不安になるのも当然です。

でも、こんな時だからこそ、しっかりと自分の立っている場所を見て欲しい。
俯瞰で、大局的に、自分の周囲を鳥観図(ちょうかんず)で見て欲しい。

鳥観図(ちょうかんず)というのは「飛んでいる鳥の目線で見た景色」のこと。

自分はどこにいますか?
どこに向かっていますか?
そのために何をしていますか?

上から見た自分は、道に迷っていないですか?

必要なのは「生きるチカラ」と「稼ぐチカラ」

なにがあっても、労働力の源泉はヒト。ヒトがあっての経済です。

だから、これから必要なのはこの2つだと、著者は説きます。

それは「生きるチカラ」「稼ぐチカラ」。

本書で詳しく書かれているのですが、その内容はというと…

  1. 生きるチカラの3要素(情報処理力:情報編集力:基礎的人間力)
  2. 稼ぐ力の源泉(=雇われる力)

ここで特に注目したいのは、最近ビジネス書でも目にする「編集力」。

「編集力」とは、情報を自分で一度飲み込んで、独自の視点で加工し発信することだと私は捉えています。

ただ大量の情報があればいいというわけではないし、まとめただけでも意味がない。読解力、読み解くこととも似ています。

どこまで情報を咀嚼して、当事者目線で必要な個所を組み立てて活かせるか。鍛えることが可能な能力として努力したい分野です。

著者の藤原和弘氏はナニモノ?

著者の藤原和弘氏は「教育改革実践者」という肩書になっていますが、㈱リクルート出身でありながら、義務教育初の「民間校長」として、杉並区立和田中学校・奈良市立一条高校で校長職を務めた人物です。

リクルート社では営業統括・新規事業担当を務め、メディアファクトリーの創業も手掛けたということは、営業とマネジメント、人的サービスに長け、出版業界にも精通した人物ですが、最終的に非営利の教育分野に踏み出したところが興味深い。

そのキャリア構成についてはライフデザインの章で書かれていますが、稼ぐ力としてキャリアの希少性をあげています。

実はこれ、私が密かにやってきた事と重なる部分です。私は資格を活かした仕事をしていることが多いのですが、実は1つの資格だけで選ばれたことは無いと思っています。

ちなみに今の『学校司書』の仕事も、「司書資格」はもちろんですが、「国語科の中高教員免許」が効き手となって採用になっています。それから、過去に「民間企業で人事担当」だった経験も図書部併設キャリアセンターに効き、多少PCが使えるという点も評価されました。

リンクする数が多いほどレアになっていく、希少性!まさにその通りだと思います。

それを可能にするのは、やはり情報の編集力です。
自分はこの企業で、どの部分をアピールするのか?どの経験を役立てることができるのか?それはやはり本人しか知りえない情報で、活かすも殺すも自分次第では」ないでしょうか。

これからは○○が加速する時代

今回のコロナ禍一連の流れと、この『10年後、君に私語とはあるのか?』を照らし合わせた時に驚いたことは、これから10年間で起きると予測されていた社会の変化の2年分位がこの3か月で一気に進んでしまったことです。

一番顕著な例はリモートワークでしょう。

”東京オリンピック時の通勤ラッシュ緩和にテレワーク推奨”くらいの話だったのが、”コロナ感染防止の非常時下勤務体制”になった途端、2か月ほどで可能な限り導入完了してしまいました。

そして、また学校教育も大きく変化したのはご存じのとおりです。

冒頭の○○には、細かく分ければ色々な言葉が当てはまるでしょう。
それは「AI」もあるし、「IT化」もあるし、「個別化」「専門性」も、他にももっとあります。

それを総括して言えることは、総じて「変化」ではないでしょうか。

著者も冒頭で熱く語っています。「これからの時代は多くの親が体験してきた”標準的な人生モデル”は追求できない」こと。

そのなかでいかに、充実した人生=価値あること=仕事をしながら生きることが出来るかが、この本の問いかけであり、また答えのヒントなのではないかと思います。


10年後、君に仕事はあるのか?―――未来を生きるための「雇われる力」

 

ちなみに、民間初の広島県教育委員長(前職が校長職)になられた平川理恵さんも㈱リクルート出身でした。

https://donguri5.com/librarianship/hirakawarie


クリエイティブな校長になろう――新学習指導要領を実現する校長のマネジメント

 

もちろんこれから社会に出てゆく生徒たちのためと思って購入した本ですが、私自身も自分への問いかけとして、何度も読んでいます。

大人にとっても多くの示唆に富む内容です!

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