ビリオネアという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
“1 billion(ビリオン)=10億”から生まれた言葉で、 個人資産10億ドル以上の者を指します。ミリオネアを超えた億万長者の名称で、世界でも有数の大富裕層です。
毎年アメリカの経済誌フォーブスに世界の富豪番付の発表があるのですが、今年そのなかに「キーエンス奨学金」で知られる、キーエンス創業者の滝崎武光氏の名前がランクインしました。
今、キーエンスが経済界でトップに羽ばたき続けるその理由をご紹介します。
その理由が理解できれば、日本経済の企業が求める人材像がわかるはずです!
世界の富豪入りしたキーエンス
キーエンスの奨学金で一躍、日本での知名度があがった㈱キーエンス。初めてその名を聞いた学生も多かったのではないでしょうか?
しかし世界経済の舞台では今や知らぬ人はいないほど、メジャーな存在です。
4月初めにアメリカの経済誌フォーブスは、2020年世界の富豪ランキングを発表しました。株価の急落など新型コロナウイルスの感染拡大が世界の富豪にも影響を与えているようで、10億ドル以上の資産を持つ人の数は前年より減少しています。
世界の富豪1位はアマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏で資産は1130億ドル、2位は、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏で980億ドルです。
日本人で最も上位は、41位のユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長で資産197億ドル。
次いで「キーエンス」の創業者の滝崎武光氏がなんと47位にランクイン!資産は174億ドル(日本円で1兆8700億円)でした。
キーエンスの強さとは
多くの日本企業は工業分野に強く、その実績はアメリカ・ヨーロッパや新興国経済のとの連動性が高くなります。そのため海外の投資家は近年、欧米に比べて割安な日本株に対して注目するようになってきました。
つまり今こそ、工業やITなどの日本企業の株が儲かるようになってきたのです。中でも特に強いのがロボット株です。
例えば産業用ロボットを牽引する国内の代表的な企業の株価は、年初から著しく上昇しました。キーエンス株は50%伸び、ファナックは25%、安川電機は2倍以上に高騰し、日経平均の伸び幅の9.5%をいずれも大きく上回ります。
実際、各企業のロボットの受注台数は四半期ベースで過去最高を記録しているのです。
日本ロボット工業会によりますと、これは国内需要の増加と中国のオートメーションに対する強い投資意欲に加えて、アメリカの景気拡大とトランプ政権による経済政策が産業用ロボットの需要を押し上げているといいます。
これは世界の経済の需要とキーエンスの読みが上手く噛み合った結果の産物です。まさにその「読み」こそがキーエンスの強さに繋がっているのではないでしょうか。
キャリアアップとしての「キーエンス」
またキーエンスは、しばしば「転職に強い企業」という視点で捉えられることがとても面白いと思います。
「転職」という言葉も、ようやく日本でも「キャリアアップ」の目線で語られるようになってきました。
今、転職市場が活気を帯びています。人口減少と好景気に伴って市場は空前の人手不足であり、若手の転職志向も高まってきたのがその理由です。
日本でも終身雇用が崩壊して欧米並みに自分でキャリアを築く時代が到来し、どの会社に入るかは、これからはゴールではなくプロセスに過ぎません。
とは言え「トップティア」と呼ばれる、いわゆる業界のリーティングカンパニー出身であることが大事なのですから、まずは新卒あるいは中途でもトップティアに入社するということに大きな意味があります。
入社試験がとても難しい企業に入るということは、そのハードルを突破したという点で地頭の良さとスキルがある程度保証されたことになります。
また企業内で活躍した実績は、社内の競争が厳しく、プレッシャーが強い企業でもまれた、というイメージに繋がります。
特にその意味が、キーエンスが転職元ということで好まれる第一の理由になります。
それはキーエンスの高報酬には理由があり、若いうちに責任が伴う業務を任されていることで有名だからではないでしょうか。
若い世代でも責任あるポジションで意思決定を任されるケースが多いため、ビジネスを成功させたいというマインドセットを持ち、ビジネスを成功に導く教育をすでに受けてきているとして、転職の際にとても好まれるというのです。
特に、企業はこれからグローバルな視野を持つ人材の確保や人材育成により力を入れるため、考える力やスキーム(構想)をトレーニングされていることへの、期待が大きくなります。
その点でも、キーエンスの社内教育は人材育成に大変力を入れており、それが国内外の企業から大いに評価されているということになります。
これから求められる人材とは
転職という目線で今の日本経済が見てきましたが、現代社会は100年に一度に匹敵するような考え方の転換期を迎えています。
日本企業の多くは拡大期を経て変革期に入っていて、構造改革しなくてはという自覚をもっています。
このような時期に必要とされる人材は、築き上げたの枠組みを壊してでも、新しいビジネスを切り開いていく能力をもった人です。
既存のルールを変えて、自分で新しくスタートを切れる人が、今、求められています。
それは標準化されたシステムに従うよりも、即興で変化に立ち向かえる人材を、時代が求めているのは間違いないのではないでしょうか。
- ビジネスを成功させたいというマインドセットがある
- 成功に導く意思決定のための鍛錬をしている
- グローバルな視野を持つための努力をしている
- 考える力やスキーム(構想)をトレーニングしている
- 既存のルールを越えて変化に立ち向かえる