司書になるには

「学校司書」と「司書」の違い

図書館には公共図書館、大学図書館、学校図書館や国立国会図書館、専門図書館等があります。

これらに司書として採用されるためには、基本的に「司書」もしくは「司書補」の国家資格が必要です。

いずれの図書館に勤務しても職業名は「司書」ですが、学校図書館勤務の場合は名称が「学校司書」になります。

この二つの司書がどのように違うのか、文部科学省の基準に合わせながら説明します。

「学校司書」と「司書」は設置根拠となる法律が違う

学校司書

学校図書館法に従って、職務に従事します。

※関連条文 学校図書館法第6条
(1)学校には、司書教諭のほか、学校図書館の運営の改善及び向上を図り、児童又は生徒及び教員による図書館の利用の一層の促進に資するため、専ら学校図書館の職務に従事する職員(以下「学校司書」という。)を置くよう努めなければならないこととした。(第1項関係)

※学校事務職員としての従事は、学校教育法第37条1項を相当とする。

司書

図書館法に従い、職務従事します。

※関連条文 図書館法第4条
図書館に置かれる専門的職員を司書、及び司書補と称する。
2 司書は、図書館の専門的事務に従事する。
3 司書補は、司書の職務を助ける。

「学校司書」と「司書」の位置づけと職務内容

学校司書

位置づけ…専門的な知識・経験を持ち学校図書館の事務に従事する

職務内証…学校図書館の運営の改善及び向上を図り、児童生徒及び教員による学校図書館の利用の一層の促進に資するため、司書教諭等と連携しながら、その機能向上の役割を担い活動する。特に規定はなく、各々の学校図書館により業務の内容は異なります。

司書

位置づけ…図書館の専門的事務に従事する

職務内容
1 図書館資料の選択、発注及び受け入れ
2 受け入れ図書館資料の分類及び蔵書目録の作成
3 目録からの検索、図書館資料の貸出および返却
4 図書館資料についてのレファレンスサービス、読書案内
5 読書活動推進のための各種主催事業の企画、立案と実施
6 自動車文庫による巡回等の館外奉仕活動の展開など
(公共図書館の場合)

「学校司書」と「司書」に必要な資格

学校司書

制度上の資格の定めはありません

しかし実際は、司書資格や司書教諭資格、教諭免許状や実務経験(読み聞かせなどの読書活動を含む)が採用の際に求められることが多くあります。

※2019年4月より学校司書育成として「学校司書モデルカリキュラム」が始まりました。

司書

司書あるいは司書補の資格が必要です。

資格を得るには以下の3つのいずれかに該当すること。
①大学又は高等専門学校卒業生が司書講習を修了し資格を得る
②大学で司書資格取得に必要な科目を履修し卒業を待って資格を得る
③3年以上司書補としての勤務経験者が司書講習を修了し資格を得る

「学校司書」の現場の声として

平成27年4月1日施行の「学校図書館法」の改正により、学校司書の位置づけは多少明確になりました。

ですが、専門性がある現場なのに対して、まだまだ理解と必要性が足りないと感じることが多々あります。

学校司書には、図書に関する専門知識に加えて、学校教育の知識も無ければ関わることが難しい。

あ学年のどの段階で、どの程度の学習の習得があるのか、シラバスを読んでいる学校司書はどれくらいいるでしょうか?あるいは、シラバスを読める環境にある学校司書は、と言い変えても良いかもしれません。

私は自身が教員免許状を持っているという理由もあり、小学校から高校までの学習指導要領を一通り読んでいます。

加えて我が子の成長過程も見ながら、段階ごとの図書館の学習支援範囲を把握しています。

学校ごと、あるいは地域性で生徒たちの特性は違います。力を入れて教育している分野がそれぞれ違うからです。

音読や読み聞かせに力を入れてきた学校は非常に感受性が豊かで、言葉でのコミュニケーション能力が非常に高い。

また、朝の読書や図書館での貸出冊数などの競い合いがある学校では、文字に関する学習、漢字の読み取りや読解が得意です。

各々特色は良いのですが、やはり指針があると全体的なアベレージを維持しつつ、得意な分野を安心して伸ばすことが出来るのです。

こういうことに気を配るのも、司書教諭に任せきりではなく、学校司書の仕事でありたいというのが本音です。

学校司書はいわゆる「環境づくり」に欠かせない存在です。
対して司書教諭は学校図書館「経営」に専念するのが望ましい。

学校司書ではなかなか計画を建てる段階に踏み込むことは難しい立場にあります。

図書館は、来館者利用の質と数にかかっています。利用してもらえなければ何の意味もない。

司書教諭には司書教諭にしか出来ないことをし、業務の住み分けが明確になれば双方にとって本当にやりやすくなると思います。

学校図書館にはそれ相応の理由があって、専任者が居るのだということを広く理解し、活用できるようにしなければならない。

そのためにも、目に見える形での活躍と、変化とアイディアで学校司書は奮起する必要があると感じます。少なくとも、まだまだ理解が足りないと感じている環境である間は。

そして一日も早く、学校司書が教育に無くてはならない存在になる日が来ることを思わずにはいられません。

 

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