「新書」の定義をご存知ですか?
知っているようで、詳しくは答えられないという人が多いのではないでしょうか。
なんだか難しそうでハードルが高いなあと感じているかもしれません。
でも、軽く読めるものから深い専門知識まで、いろいろ揃っているのが新書です。
今回はその魅力を考えます。
新書ってなんだろう?
新書とは
新書とは「各分野の専門家がその分野の知識や教養をわかりやすく伝えている本」のこと。
手軽に知識が得られるのでおすすめです。
ジャンルも本当に幅広く、まさに専門家が専門分野を難しく掘り下げたようなものもあれば、アイドル論や恋愛論を語るものもあります。
しかし、ほとんどは”社会人が教養として知っておいたら役に立つ”レベルの本なので、一冊できちんと完結して理解できます。今や各出版社が競って新書を出しています。
新書の歴史は80年くらい
新書の歴史は岩波新書に始まります。1927年、岩波書店は「国内外の古典的価値を持つ文学作品や学術書などを幅広く収める書」である岩波文庫を発刊しました。
当時文庫はまだ判型が定まらず、小型の叢書(本のシリーズ)という程度の意味であり、大きさも厳密に決まっていなかったようです。
その11年後、判型・内容ともに岩波文庫とは違うものとして創刊したのが岩波新書です。古典を収録する岩波文庫に対し、岩波新書は「現代人の現代的教養を目的」とした書下ろしが中心でした。
今はほとんどがノンフィクション(史実や記録に基づいた作品)ですが、なかにはフィクション(創作作品)もあります。
”ジュニア向け”を侮ることなかれ
新書には「岩波ジュニア新書」「ちくまプリマー新書」等、中高生ジュニア向けのシリーズも出ています。しかし、ジュニア向けだからと言って、あなどってはいけません。
中学生や高校生の学習に役立つサブテキスト、大学生が専門分野を学ぶ第一歩としての入門書、社会人が基本的な教養や知識を身につけるための教養書、そしてシニアの方々の学び直しにも最適なシリーズとして、世代を超えて活用出来る強みがあります。
☞『中学生からの大学講義シリーズ』 ちくまプリマー新書
各分野の第一人者による、わかりやすい言葉を選びながらも熱い思い溢れる内容です。「中学生からの~」となっていますが、中学生にはちょっと背伸びの内容かなと思います。大学を意識し出した高校生や、新入大学生あたりの年代だときちんと理解できるでしょうか。
学問の芯の部分が平易な文章で簡潔に語られていて、大人ならきっとハマってしまうと思います。読書案内(参考図書)もあるので、活用してさらに学びを深められるようになっています。さすが!
何のために「学ぶ」のか:〈中学生からの大学講義〉1 (ちくまプリマー新書)
続・中学生からの大学講義1 学ぶということ (ちくまプリマー新書)
☞『友達幻想』 ちくまプリマー新書
そして次に紹介する『友達幻想』は、内容が濃いと本当に話題になりました。もちろん大人にです。大人だって悩んでいるんですもの。「みんな仲良く」という重圧に苦しんでいる人へ向けての人間関係処方箋です。
友だち幻想 (ちくまプリマー新書)
今なぜ「新書」がおすすめなのか
新書はバリエーションに富んでいます。文化論的な話もあれば、時事問題もあり、社会に通用するビジネス系の話もあります。新刊をチェックすると、世間の関心や流れがわかります。
最近だと、天皇制に関連する本やオリンピック関連の本、AI関連、都市の機能性についての話題が多い印象です。
ですから、「今」の時代の空気を知り、さらにちょっと踏み込んだ知識を得るためにも新書の新刊はいいのです。
例えば、世間話で最近気に話題はなんですか?などの質問にも答えられますし、話題作りのきっかけにもなります。
基本的に新書はその一冊だけで深い専門知識がなくても読むことができます。
気負わずに手に取り、読みやすい新書で慣れてから専門書を読んでステップアップさせていくという方法もあります。
新書を活用しなきゃもったいない!
・新書とは各分野の専門家が知識や教養をわかりやすく伝えている本のこと
・様々な分野の話題が揃っている
・基本-的にはその一冊だけで深い専門知識がなくても読むことができる
学校図書館・大学図書館なら、きっと目立つところに「新書棚」があるんじゃないでしょうか?
壁にずらっと白い背表紙が並んでいます。本屋さんに行っても比較的にわかりやすいコーナーです。
文庫本サイズで軽くて薄く持ち運びもラクです。1冊カバンに入れておくとスキマ時間で意外に読めます。
人待ちの時間や習い事の付き添いの時などのちょっと手もち無沙汰なときも役に立ちますし、そういう時ほど集中して読めたりします。ちなみに私は斎藤孝さんと隈研吾さんの著書が出ると必ず手に取ってしまいます。
どれを買おうか迷ったら題名を見るよりも帯を読むのがコツです。題名はカタい感じで何ら惹かれないのに、帯で笑っちゃって、読んでみたらやっぱり面白かった!ということ、けっこうあります。
シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 (幻冬舎新書)
↓この本の帯コレですよ!?(帯がだいぶ太いです…)
初めは気になった題名を何冊か選んでみて、面白かったら同じ分野・同じ著者のものを読んで知識を掘り下げるのが一番おすすめです。
「広く浅く」も、「深く狭く」も読めるのが新書の良さなのですから。