話題の本

今こそ感じたい詩集『生きる』谷川俊太郎

生きる  

生きる  谷川俊太郎

生きているということ
いま生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみをすること
あなたと手をつなぐこと

生きているということ
いま生きているということ
それはミニスカート
それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス
それはピカソ
それはアルプス
すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと

生きているということ
いま生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ

生きているということ
いま生きているということ
いま遠くで犬が吠えるということ
いま地球が廻っているということ
いまどこかで産声があがるということ
いまどこかで兵士が傷つくということ
いまぶらんこがゆれているということ
いまいまが過ぎてゆくこと

生きているということ
いま生きてるということ
鳥ははばたくということ
海はとどろくということ
かたつむりははうということ
人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ

 

この大変な世の中で

この誰も経験していない、未曽有(みぞう)の状況の中で、子供も大人も「生きる」ということを実感する毎日ではないでしょうか。

毎日些細なことで一喜一憂していますが、本当はそう感じられるだけで幸せなんだということ。そんなことを今もういちど噛み締めています。

私たちが生きている今日は、生きられなかった誰かの明日かもしれない。

生きましょう、そして、また会いましょう。

この時代を生き延びたなら、きっと世界は今よりもっと優しさに溢れると思うのです。

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谷川俊太郎さんの詩は、心をフラットにしたい時に読むことが多いです。
原点に立ち返る気持ちになります。

絵本で読むと、文字だけの詩とはまた違った印象になります。
平和読本として取り上げられることの多い絵本ですが、戦争だけではなく、震災の時にもよく読まれました。

今回もまた、多くの方が手に取る機会が増えると良いなあと思います。

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