この記事を読んでいるということは、
学校司書もしくは司書教諭の方でしょうか?
または生徒児童の保護者の方や
地域ボランティアの方など、
学校図書館に関心がある方だと思うので…
突然ですが、
皆様の学校図書館は
『メディア基準』を達成していますか?
というのも、
実は自校がまだまだ達成されていないことを
数値で知ってしまったから…
皆様の学校図書館はいかがでしょうか?
今回は
20年ぶりに改訂案が検討されている
「学校図書館メディア基準」について
書いてまいります。
20年ぶりに『学校図書館メディア基準』改訂を検討中
いま全国学校図書館協議会(以下SLA)では、2000年に制定した「学校図書館メディア基準」の改定案を検討しています。
これは、
現在の学習内容や活動の変化
近年の出版状況
新たな電子メディアの普及
に対応するための、
実に20年ぶりの改訂です。
この20年の変化は、
学校図書館にとって目覚ましいものがありました。
特に学校図書館法の2014年6月20日の改正は
「学校司書」が明文化された(涙)こともあり、
より学校図書館の意義が明確になったように思います。
→改訂版『学校図書館メディア基準』はこちら
そもそも『メディア基準』とは?
ちょっと聞きなれない
『学校図書館メディア基準』ですが、
学校における「蔵書の基準値」
のことなんですね。
つまり、
小学校だったら図書は最低15,000冊以上、
新聞は6紙以上、
DVDやCDは200枚以上揃えようね、
っていう具体的な数字です。
これは学級数(人数・規模)に応じた数式なので、
具体的に対応できる数値が出てきます。
図書+視聴覚、な感じです。
『メディア基準』更新のポイント解説
蔵書の最低基準冊数
蔵書の最低基準冊数は、
表の計算式で求められます。
小学校・中学校・高等学校と
それぞれ基本式が違いますので、
所属学校を確かめて計算してみて下さい。
2000年に定めた表と比べると、
学級数の区分けが小中高と統一され、
計算式も単純化されて
とても使いやすくなりました。
小学校
学級数 | 計算式(冊) | 備考 |
1~6 | 15000 | |
7~12 | 15000+700×A | A=6を超えた学級数 |
13~18 | 19200+600xB | B=12を超えた学級数 |
19~24 | 22800+5020xC | C=18を超えた学級数 |
25~30 | 25800+400xD | D=24を超えた学級数 |
31以上 | 28200+300xE | E=30を超えた学級数 |
中学校
学級数 | 計算式(冊) | 備考 |
1~6 | 20000 | |
7~12 | 20000+800×A | A=6を超えた学級数 |
13~18 | 24800+700xB | B=12を超えた学級数 |
19~24 | 29000+600xC | C=18を超えた学級数 |
25~30 | 32600+500xD | D=24を超えた学級数 |
31以上 | 35600+400xE | E=30を超えた学級数 |
高等学校
学級数 | 計算式(冊) | 備考 |
1~6 | 30000 | |
7~12 | 30000+900×A | A=6を超えた学級数 |
13~18 | 35400+800xB | B=12を超えた学級数 |
19~24 | 40200+700xC | C=18を超えた学級数 |
25~30 | 43800+600xD | D=24を超えた学級数 |
31以上 | 47400+500xE | E=30を超えた学級数 |
蔵書の配分比率
今回の比率の議論の中心になったのは、
やはり「9類の文学書」でした。
以前の学校図書館は
「読書センター」機能中心でしたので、
文学書(小説)比率が大きくなりがちです。
調査では40%以上を9類が占める
図書館も多数あったそう。
それも踏まえて、
9類の文学書は平均して
・小学校 約4,000冊
・中学校 約5,000冊
・高校 約6,000冊
の冊数が妥当だという結論で、
新・分類比率が出来上がりました。
これからの学校図書館は、
「学習センター」「情報センター」も
機能として果たしますから、
調整が必要です。
小学校の配分比率
0総記 | 6 |
1哲学 | 3 |
2歴史 | 16 |
3社会科学 | 10 |
4自然科学 | 16 |
5技術 | 6 |
6産業 | 5 |
7芸術 | 8 |
8言語 | 5 |
9文学 | 25 |
合計 | 100(%) |
中学校の配分比率
0総記 | 6 |
1哲学 | 5 |
2歴史 | 16 |
3社会科学 | 10 |
4自然科学 | 15 |
5技術 | 6 |
6産業 | 5 |
7芸術 | 8 |
8言語 | 6 |
9文学 | 23 |
合計 | 100(%) |
高等学校の配分比率
0総記 | 7 |
1哲学 | 7 |
2歴史 | 16 |
3社会科学 | 12 |
4自然科学 | 14 |
5技術 | 6 |
6産業 | 4 |
7芸術 | 8 |
8言語 | 7 |
9文学 | 19 |
合計 | 100(%) |
新聞の購読紙数の最低基準
新聞には
・全国紙
・地方紙
・英字紙
・専門紙
・小中学生対象
などの新聞があります。
今回は購読紙数の最低基準を
・小学校6紙
・中学校8紙
・高等学校10紙
としました。
雑誌のタイトル最低基準
雑誌は継続資料としての雑誌を対象にして、最低基準をタイトル数で示します。
学級数 | 小学校 | 中学校 | 高校 |
1~12 | 10 | 15 | 20 |
13以上 | 15 | 20 | 25 |
視聴覚メディア(CD,DVDなど)
ここでは、再生装置が必要なCDやDVDなどのメディアを対象としました。
小学校
学級数 | 計算式 | 備考 |
1~6 | 200 | |
7~12 | 200+22×A | A=6を超えた学級数 |
13~18 | 332+20xB | B=12を超えた学級数 |
19~24 | 452+18xC | C=18を超えた学級数 |
25~30 | 560+16xD | D=24を超えた学級数 |
31以上 | 656+14xE | E=30を超えた学級数 |
中学校
学級数 | 計算式 | 備考 |
1~6 | 300 | |
7~12 | 300+24×A | A=6を超えた学級数 |
13~18 | 444+22xB | B=12を超えた学級数 |
19~24 | 576+20xC | C=18を超えた学級数 |
25~30 | 684+18xD | D=24を超えた学級数 |
31以上 | 792+16xE | E=30を超えた学級数 |
高等学校
学級数 | 計算式 | 備考 |
1~6 | 400 | |
7~12 | 400+26×A | A=6を超えた学級数 |
13~18 | 556+24xB | B=12を超えた学級数 |
19~24 | 700+22xC | C=18を超えた学級数 |
25~30 | 832+20xD | D=24を超えた学級数 |
31以上 | 952+18xE | E=30を超えた学級数 |
電子メディアの基準数
電子メディアは、紙市場が減少傾向になって電子市場が主流になるのは時間の問題かと思いまますが、現在は紙市場の規模がまだまだ圧倒的に多い。
そこで、現段階では電子メディアの基準数は「蔵書の最低基準冊数の1/10」位と定められました。
「電子メディア」の考え方としては、有料物を対象とし、アプリ、webサイト、動画サイト、データベース、パッケージソフト、電子書籍、デジタル絵本、DAISYなどです。
『メディア基準』をどのように運営に活かすか
数字を見ると、圧倒されそうになるのですが…。
その学校ごとに現状があり、学校メディア基準は努力目標の指針です。
実は最新の調査で、平成28年度(文科省さん、古くないですか…?)の全国の学校図書館の平均は、小学校8,920冊・中学校10,785冊・高校23,793冊です。
これは今回定めた最低基準冊数に対して、小学校は約6,000冊不足・中学校は約11,000冊・高校は約6,200冊不足しているということになります。
我が校だけでなかった…ほっ。ではなく!!
SLAでは「達していない冊数は、10年間を目途に整備を図りましょう」としています。
まずは現状把握して、冊数・配分比率ともに基準に達する指標を作る事が必要ですね。
早速取り組みます!