学校図書館

学校図書館に手作り「読書通帳」はいかが?図書委員活動やイベントにも使えます!

読書の促進効果として、「読書通帳」に取り組んでいる学校図書館も多いのではないでしょうか。

学校図書館には「個人のプライバシーを守る意味として貸出履歴を外部に漏らさない」という責任がありますが、読書活動を教育に活かしたいとする考えと、個人のプライバシーを守りたい思う方向は一緒ななず。

今回は、そんな議論の中から生まれてきた学校図書館としての「読書通帳」の取り組みをご紹介します。

「読書通帳」の取り組み

こけしちゃん
こけしちゃん
最近、公共図書館で「読書通帳」を見かけました。
読書通帳って何ですか?

読書通帳とは

「読書通帳(どくしょつうちょう)」は、読んだ本の履歴や、図書の貸出履歴を記録しておく手帳の総称です。ほかに図書通帳、読書手帳などと呼ばれることもあります。

実はこの取り組みは意外に古く、1992年に某公共図書館で貸出履歴を記載するための手帳を提供するサービスが存在していたと言われています。

読書通帳という名称は、2010年に開館した山口県の下関市立図書館で㈱内田洋行の「読書通帳機」を取り入れたことから注目を浴びるようになりました。

通帳には自分が読んだ本のタイトルや貸出日が記録され、一覧として見ることが出来るのでとても便利です。

人々の読書離れの深刻化が嘆かれる昨今ですが、この「読書通帳」を導入した図書館では、利用者数が全国的に増えているといいます。

「読書ノート」などと違って感想などを書く必要がない点も、ハードルが低い分だけ長く続けられると評価されているようです。

公共図書館での取り組み

公共図書館で「読書通帳」を導入する方法としては“読書通帳機”という機材を購入して活用するケースと、通帳を配布して利用者が自分で記入するケースがあります。

読書通帳機とは、記録機を使って図書の貸出履歴を利用者が自分で「読書通帳」に記録するシステムです。あくまで利用者が自発的に記録するという点が大事です。

通帳という形態にすることで利用者の読書の履歴が「見える形」になり、もっと読みたいという意欲を促進した結果、利用登録者が増えて図書館利用が活性化されていく仕組みです。

まるで本物の銀行通帳のようなカタチも楽しみの要因にの一つにもなっています。

本の題名(=冊数)が貯まっていくことが、「知識の蓄え」「成長の証」として実感できるのが嬉しいですよね。

もともとは子供向けのサービスとして開発されましたが、今はむしろ大人の方が利用率が高くなっています。

学校図書館と「読書通帳」

「読書通帳」導入のメリット

こけしちゃん
こけしちゃん
学校図書館に「読書通帳」があると、どんないい事があるのかな?

学校図書館で「読書通帳」を導入するメリット

  • 利用者の読書意欲の促進
  • 図書館利用の活性化
  • 読書活動の定量化
  • 冊数などの目標設定
  • 自己評価の明確化
  • 読書履歴の振り返り
  • 次の読書活動へのアドバイス

公共図書館で効果のあった「利用の活性化」にプラスして、学校図書館ならではの“学習と連動した読書活動効果”へのメリットがあると予想されます。

小学校や中学校では時間割に図書館利用が組み込まれていたり、“朝読書”と連動して図書館を利用する機会が多いかもしれません。

そのような場合にも読書の振り返りとしても、「読書通帳」はとても有効です。

また、今後『アクティブラーニング』の場として学校図書館が活用されることが予想されますので、記録媒体としての意味合いは重要になってくると考えます。

学校図書館として個人情報をいかに守るか

どんな主義主張・宗教を信仰するかは個人の自由ですので、学校図書館には「この人はこの本を読んでいる」という個人情報の守秘義務があります。

ですから個人の読書記録がわかる「読書通帳」は、本来の個人情報保護の観点と相反する所にあると言えます。

そこで読書通帳は、あくまでも利用者が自発的に記録するという点が大事になってきます。

つまり「自己開示」という形式を取ることによって、ある程度選択的な融通を効かせ、自由性を持たせるのです。

読書通帳は自発的な記録ですから内容は個人の自由です。貸出記録とは違うので、すべてを記録する義務がないことを前提にしましょう。

管理を個人にするか、学校図書館内に設置するか、公にする権利が個人にあることなど学校図書館として導入する際には、担当司書教諭はじめ図書選定委員会でしっかり決めておくことが必要になります。

こけしちゃん
こけしちゃん
簡単に導入すればいいわけではないんだね!
貸出記録とはちがうことも重要!

学校図書館へ「読書通帳」の取り入れ方

こけしちゃん
こけしちゃん
私も「読書通帳」が欲しくなりました!

読書通帳の作成

ほとんどの学校図書館では、まずは手作りによる通帳で取り組むことが多いのではないでしょうか。

実は手作りの「読書通帳」をダウンロードできるページをみつけました!(図書館など公共施設へのソリューション事業を展開するOEC株式会社のHP内にあります)

こちらではA3用紙に印刷して、切込みを入れて折りたたむだけで通帳になるタイプのテンプレートが無料でダウンロードできます。ありがたいですね!

読書通帳」無料ダウンロードはこちら

うちの図書館でも「読書通帳」をいくつか作ってみました。A3の用紙を折りたたんで作るタイプの大きさです。

中には、日付・題名・メモ書きスペース・5つ星で評価が出来る欄を作りました。通帳1通につき30冊分の記入が出来ます。

配布の仕方

個人の読んだ本の記録が全て出てしまう読書通帳は、個人情報保護の観点で注意することが大事です。

読書通帳を配布する際には、内容が個人情報に値すること・紛失や内容公開には注意することの説明が必要ですね。

学校の全校生徒で一斉活用する場合は、管理の方法を司書教諭を中心とした教職員の図書選定委員会で、充分な話し合いのうえで決めましょう。記名の仕方なども同様に注意です。

活用法は多種多様

たくさんのメリットがありそうな「読書通帳」ですが、全校一斉導入の前に希望者に使ってもらいテストケースとして様子をみるなら、ハードル低く始められそうです。

図書委員会のイベントでは「しおり」や「ブックカバー」などを作ったり配布したりが定番ですが、これからは「オリジナルの読書通帳作り」も楽しそうですね!

A3サイズ1枚の8分割タイプもよし、ノートタイプにして作成するもよし。

まずはオリエンテーションなどで、魅力をお披露目してはいかがでしょうか?

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追記・読書通帳機について

予算があれば、株式会社内田洋行で販売している「読書通帳機」はいかがですか。

卓上型の「読書通帳機mini」であれば、85万円から。別途、通帳、システム連携、サーバー関連費用が発生するとのことですので、予算はもう少し要りますね。

これが導入できるのは、夢物語ですね~。それまでは図書委員と“手作り読書通帳”作りに励みます!

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