米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は、2018年春にアメリカの大学を卒業する学生に、無料で『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』を贈呈しました。
ゲイツ氏が、無料で進呈してまで読んで欲しいと考えたのはなぜでしょうか?
そしてなぜ、大学を卒業したばかりの年代をえらんだのでしょうか?
ファクトフルネスの意味
思い込みではなく、事実をもとに行動すれば、人類はもっと前に進める。
そんな希望を抱かせてくれる本。
ーバラク・オバマ元米大統領
名作中の名作。
世界を正しく見せるために欠かせない1冊だ
ービル・ゲイツ
ファクトフルネス。
- ファクト(fact)=事実、真実の、実際の
- フルネス(hullness)=満ちること、いっぱいの
- ニス (ness)=欠如している、欠けている
もとの言葉はこのあたりから発生していると考察するのですが、実は造語です。
ファクトフルネス(FACTFULNESS)とは、本書の中では「データを基に世界を正しく見る習慣」を意味します。
多くの人は、「自分が知っている世界は、事実とそうかけ離れたものではない」と信じこんでいますが、それは本当に事実(ファクト)でしょうか?
全世界でベスト・セラーを記録した「ファクトフルネス」のテーマは実にシンプルです。
「我々の思い込みの強さは想像以上で
その思い込みにより世界をありのままに見れないということ」
「ファクトフルネス」から学びたいこと
「ファクトフルネス」から学べる多くのことの中で、覚えておくべきことは次の5つ。
この5つは私たちが世界に対する見方を変え、より良い生活を送る助けになってくれるはずです。
- 世界は私たちが考えているより良い状態にある
- 私たちには、世界を「われわれ」と「彼ら」という2つの陣営に分割する傾向がある
- 常にあらゆることを心配し、事実に基づいた世界観を持つことができずにいると、私たちにとっての最大の脅威に集中できなくなる可能性がある
- 私たちは大抵のことについて、悪化しているときに変化に気づきやすい
- 私たちは「恐怖による支配」というレンズを通してメディアを見ている
データを調べて分析をするのは簡単ですが、世界を十分に理解したいなら実際に人と議論する必要があります。
世界がいかに動いているかを理解し、あまりにも多くの人たちの判断を鈍らせている私たち。
人間が持っている生来の偏見を浮き彫りにするために筆者ロスリングが推奨するのは、現実の世界での実際に体験です。
真実を伝えることができるのは、事実だけです。
事実を信頼し、事実を最前線で実感すること。
それに勝る学習は無いのではないでしょうか。
ゲイツ氏がなぜ新社会人に贈呈したか?
たとえば、「人間が何か選択しようとしたとき」の正解率はなんとチンパンジー以下だというのです。
その理由は、人間がこの世界を認識するときにはかならずバイアス(思い込み)が働くから。
チンパンジーはランダムに選ぶので33%の確立で正解しますが、人間は変に知能が働いてバイアスがかるから正しく物事を捉えることができない。
さらに面白いのは、高学歴・専門家・社会的な地位がある人ほどバイアスに陥りやすいということです。
例えば、人間の記憶に残るのはインパクトのあるネガティブな情報の方が多いこと。
長く生きれば生きるほど、たくさん学べば学ぶほどに、負の情報が頭に蓄積される量が多くなるのです。
その情報が変化しているとしても、人の記憶ははなかなか上書きされにくい特性もあります。
それこそがバイアスの落とし穴なんですね。
だからこそ、これから新しく社会に出ていく前の若者には、バイアスのかからない状態で世界を見て欲しい。
ゲイツ氏のそんな願いが、彼らに本を贈った理由なのではないでしょうか?
https://donguri5.com/book/mr-bill-gates-2019-winter
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
「プレジデント」2020年5/29号は、「ファクトフルネス」の特集を組んで、
この問題を様々な観点から紹介、解説しています。
正しく世界を認識するためのスタートとして、こちらもおすすめです!
真実(ファクト)が見える。不安が消える 最新ファクトフルネス FACTFULNESS(プレジデント2020年5/29号)