学校図書館

新年度なので、基本に立ち返って「学校図書館ガイドライン」をもう一度読み込もう。

元号の変わるこの春から、司書業界にやっと「学校司書」のジャンルが立ち上がりました。今まで曖昧で司書教諭の補佐役という役回り色が強い印象でしたが、とうとう自立の一歩といったところでしょうか。

4月から施行の「学校司書カリキュラム」を学ぶ前に、もういちど基本のおさらいで文科省の最新『学校図書館ガイドライン』の読み込みです!抜粋ですが、中身はきちんと網羅しました。サクサク行きましょう☆

施設の目的と機能

学校図書館は、学校教育において欠くことのできない基礎的な設備で、図書館資料を収集・整理・保存し、生徒及び教職員が利用して健全な教養を育成することが目的である。

また「読書センター」として読書指導の場であり、「学習センター」として授業の内容を豊かにして理解を深める場であり、「情報センター」として情報ニーズに対応して情報の収集・選択・活用能力を育成する場として機能する。

文科省では学校種ごとに「学校施設整備指針」として示しているので留意すること。なお、主体的・対話的で深い学びの場となるアクティブラーニングを効果的に進めるためにも、施設を整備・改善するよう努めることが望ましい。

運営と利活用

校長は館長としてリーダーシップの下、学校組織をあげて円滑な運用に努めることが望ましい。また、全ての生徒が使いやすいように開館日や開館時間を考え、図書館便りやHPで広報活動に取り組むようにしたい。

学校図書館は、生徒が自主的に読書や学習を行う場として落ち着いた環境を整え、貸出などの活動を行い、また不足資料は他の館と相互貸借するなどして資料の充実に努めたい。学習指導要領を踏まえて学校図書館を使った各種指導計画を積極的に作成し、各教科を横断的に捉えて学校全体として計画的・継続的な学びを持続したい。

携わる教職員

校長…学校教育の中で図書館の利活用を、リーダーシップをとって組織的にすすめる

教員…授業も含め、読書や学習で積極的に図書館をかつようする

司書教諭…図書館の運営計画に基づいた指導書を作成するなどし他の教員に助言する

学校司書…運営のための専門的・技術的職務に務め、生徒教員への間接的・直接的支援、教育指導への支援に当たる

図書館資料

種類

図書資料、雑誌、新聞、視聴覚資料(CD/DVD)、電子資料(CD-ROM,ネットワーク情報資源)、ファイル資料、パンフレット、自校独自の資料、模型など図書以外の資料が含まれる

※理解を深めるために、選挙年齢の引き下げに伴い新聞の積極的な活用、外国語教育や実践的教科の対応にデジタル教材を、障害などで支援を必要とする生徒の為に各々ニーズに応じた資料を充実させたい。

選定・提供

特色ある図書館づくりを進めるとともに、選定が分野で偏ることなく適切に行われるようにする。
教育課程の観点からも、特に自然科学や社会科学の分野の割合を高めるなど配慮したい。

整理配架・廃棄更新

学校図書館は、生徒が使いやすいように原則として日本十進分類法で分類し、開架式によって配架する。
目録を整備し、館内の配架サインなど見やすくして、利用者が探しやすい配慮・工夫をすること。

また場合によっては、学級文庫など分散配架することも有効である。
学校図書館の資料はは保存を第一とするのではなく、常に新しく正しい情報になるようにし、適切に廃棄・更新する。その際一定の基準を設け、貴重な資料が失われないように配慮すること。

評価

校長は館長としての責任で、運営改善のために学校図書館の評価を組織的に行い、結果に基づき改善するようにしたい。評価には外部の視点を取り入れることも望ましい。

評価は、図書館資料の状況(蔵書冊数、蔵書構成、更新状況など)、学校図書館の利活用状況(授業で活用、開館状況)、生徒の利用(来館数、貸出冊数、読書に対する関心・意欲・態度、学力の状況)、について行いたい。評価に当たっては学校目線の成果と生徒目線の成果からすべきであるが、それらを支える学校図書館側の観点(施設・設備、予算、人員)も充分配慮することが望ましい。

一年を振り返って、一年を見据えて

ガイドラインを読み返し、学校図書館としての機能を改めて実感した次第です。

学校司書としての役割も書いてありましたね。もう一度おさらいです。
1.生徒職員に対する「間接的支援」(テクニカルサービス・裏方的作業)
2.生徒職員に対する「直接的支援」(パブリックサービス・貸出返却などのこと)
3.教育目標を達成するための「教育指導への支援」

司書業界としては、3の部分がクローズアップされる元年となるでしょう。
通信教育で「学校司書」課程は最短で1年修了とのことなので、2019年夏には第一陣「学校司書」カリキュラム終了者がでることになりますね(八洲大学の通信教育では2018年秋開講でした)。当事者としてとても興味があります。

図書館業務として、これで今年度のすべき方向が示されました。
ちなみに、勤務先の図書館では更新除籍の際に今年度は自然科学を重視しようと話し合いで決定しています。
また、昨年からぼんやりと浮かんでいた「特色ある図書館づくり」の方向性が決まってきたので提案しようと思っています。

また一年が始まりますね。今年も高等学校図書館研究会の司書部会の会議や、研修会などで新しい知識を吸収して、図書館に反映させられるようがんばります。