この夏も、読書家ビル・ゲイツ氏による2020年夏におすすめの5冊が発表されました。
ゲイツ氏も、今年は日々の会話や仕事の会議も新型コロナウィルスの話題が中心の日々を送っているとのこと。
外出自粛がまだまだ必要なこれからの時間を、おすすめの本5冊に加えて、おすすめの家での過ごし方も紹介してくれています。
それではご一緒に、さっそくオススメ事項を見ていきましょう!
『The Choice』By Dr.Edith Eva Eger
あなたはトラウマをどのように克服しますか?
トラウマとは心的外傷後ストレス障害、心の傷のことになりますが、この本の作者はアウシュビッツの生存者であり、プロのセラピストです。
その組み合わせが彼女の過酷な運命と、セラピストとしての手腕を発揮するに足り得る症例となることを物語りますが、この本は部分的には回想録であり、部分的にはトラウマを処理するためのガイドです。
著者であるエディスは、彼女と家族がハンガリーの自宅からアウシュビッツの死の収容所に送られたときちょうど16歳でした。両親に二度と会うことは無く、エディス姉妹は恐怖におびえた1年後に解放されますが、エディスの苦しみは終わりなく続きます。
その後彼女は米国に移り、セラピストになりました。心理学を勉強している最中に1冊の本の中の言葉、「each moment is a choice.」に出会い、それをきっかけとして過去に向き合って、トラウマを克服していくのです。
彼女のアウシュビッツの経験に比べれば、どんな悩みでも些細に思えてしまうものですが、それぞれが抱える苦しみは現実のものであり、大きい小さいは関係ありません。
これは新型コロナウィルスによる様々な影響で、それぞれが大なり小なりの悩みを抱えている今、特に気を付けたい考え方かもしれません。
彼女の独特の背景は彼女の驚くべき洞察を与えてくれます、そして私は多くの人々が困難な状況にどう対処するかについての彼女の提案から今は快適さを見つけると思います。
セラピストとしての彼女の洞察は、読後もずっと読者に付き添います。
ビル・ゲイツ氏は、この本がこの困難な時代に救いを与えることを願っています。
『クラウド・アトラス 上・下』By David Mitchell
19世紀の南太平洋を船で旅するサンフランシスコ出身の公証人。
第二次大戦前のベルギーで天才作曲家に師事する若き音楽家。
1970年代のアメリカ西海岸で原発の不正を追及する女性ジャーナリスト。
現代ロンドンでインチキ出版社を営む老編集者。
近未来の韓国でウエイトレスとして生きるレプリカント。
遠い未来のハワイで人類絶滅の危機を迎える文明の守り手。
『クラウドアトラス』は、イギリスの作家であるDavid Mitchellによって書かれたもので、時間と場所が異なる6つの相互に関連する物語で構成されています。
各ストーリーでは、少なくとも1つのキャラクターが前のストーリーの誰かの生まれ変わりなのです。
キャストに現れる彗星模様のあざがヒントとなり、「クローン、音楽、原発、映画、伝染病」等をそれぞれテーマに、6つの物語が互いに響きあう超大作。
ゲイツ氏は、これは人間の性質と人間の価値観についての壮大な物語であると説いています。それは何百、何千年もの間、変化するものと変化しないものがある、と。
現代英語圏屈指のストーリーテラーの代表作にして、全米50万部のベストセラーとなった本書。
ブッカー賞、ネビュラ賞、アーサー・C・クラーク賞最終候補など様々な賞を獲得し、ついに日本でも翻訳が刊行されました。
2013年にトム・ハンクス、ハル・ベリー主演による映画化もされています。
『ディズニーCEOが実践する10の原則』ByRobert Iger
ビル・ゲイツ氏に「これは、私がここ数年で読んだ中で最高のビジネス書」と言わしめた話題の書です。
著者のロバート・アイガーは、ABC テレビに入社後、スタジオ雑務の仕事から昇進を続け、41歳でABC社長に就任。
ディズニーカンパニーによるABC買収を経て、今度は2000年にディズニー社長に就任。
2005年よりディズニーCEO、2012年より会長、そして2020年2月CEOを退任しました。
ABCテレビの雑用係は、いかにしてビジネスに目覚め、ディズニーのトップに上りつめたのか?
ピクサー、マーベル、ルーカスフィルム、21世紀フォックス…総額9兆円に及ぶ買収劇は、いかにして成し遂げられたのか?
そして、それらの経験から導かれる、優れたリーダーシップのための「10の原則」とは?
2019年タイム誌「世界で最も影響力のある100人」および「ビジネスパーソン・オブ・ザ・イヤー」に選出されたロバート・アイガーが、自身の半生と成功哲学を語りつくすのですから、面白くないわけがありません。
ビジネス書を探していても、単に面白い読み物を探していても、誰もが彼の本を楽しむことが出来ると思う、とゲイツ氏も推薦しています。
※ 邦訳は、『FACTFULNESS』でお馴染み関美和さんです。
まるで初めから日本語で書かれたかのような自然でわかりやすい文章、おすすめです!
『グレート・インフルエンザ』By John M Barry
私たちは今、前例のない時代を生きています。
しかし歴史的な比較を探しているのであれば、1918年の「スペイン風邪」と呼ばれたインフルエンザの大流行が今の状態と同じくらい近いものでしょう。
著者バリーは人類史上最悪のスペイン風邪発生について、知る必要がある知識をほとんど全部教えてくれます。
その内容は、アメリカのカンザス州ハスケル郡が、スペインインフルエンザの発祥地であったことを立証し、そのウイルスが不気味に広がっていった様子が生々しい記述です。
現実を前に科学者たちはインフルエンザの謎を解くために日夜研究室で戦い、ついにその病原体とメカニズムを発見します。
本書はインフルエンザの悲惨を描いただけではなく、それと戦った医学者の軌跡を追ったヒューマン・ドキュメントでもあるのです。
1918年は今とはまったく時代が違うが、この本は私たちが未だパンデミックについての課題を克服していないことを思い出させてくれます。
本書の中で最も強いメッセージとは、
”新たなインフルエンザの世界的流行の可能性と潜在的危険性への答えは確定していない。インフルエンザウイルスに遺伝子の配列を換える能力がある以上、世界的流行があるかもしれないだけではすまない。この点ではインフルエンザの専門家は一致する。起きることはほぼまちがいないのである”
ではないでしょうか。
『絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか』By Abhijit V. Banerjee , Esther Duflo
著者のBanerjeeとDufloは昨年ノーベル経済学賞を受賞しました。
彼らは今日いる中で最も賢い経済学者の2人です。
私達にとって幸いなことには、経済学の学位を持っていないような普通の人でも経済学に触れてみようかな、と思わせてくれるような本になっていることです。
彼らのこの最新の本は、米国のような裕福な国で最前線にある政策論争に焦点を当てることによって、不平等と政治的分裂を取り上げているのです 。
ゲイツ氏おすすめの「お楽しみ」!
読む価値のある本
放題『からっぽ! 10分間瞑想が忙しいココロを楽にする』
イギリスで超人気アプリになった瞑想法。
元禅僧による「10分間瞑想」で焦りも悩みもぜんぶ捨てよう!
『ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由』
全米記憶力選手権で優勝するまでの1年を描いた全米ベストセラーの話題作。
『火星の人』
数年前、この本を原作にした映画『The Martian』(※邦題:オデッセイ)を覚えている方もいるかもしれない。
マット・デイモンが演じる、火星に取り残された植物学者が、恐怖心を振り払って『私は徹底的に科学してやる』というセリフが印象的。
『モスクワの伯爵』
これは前回2019年の夏でも紹介していた本です。
伯爵の軟禁状態が、外出自粛と似てる?
『ワイフ・プロジェクト』三部作
これも前回2019年の夏で紹介していた本です。
おすすめのコミック
『The Best We Could Do』
著者の回顧録で、ベトナム戦争を生き延びた両親の経験をあらためて評価している。
(これはグラフィックノベルです)
『Hyperboleand a Half』
ゲイツ氏曰く、It’s funny and smart as hell!(めちゃくちゃに面白い!)に尽きるらしいです!
『ホワット・イフ? Q1: 野球のボールを光速で投げたらどうなるか 』
数々のトンデモ質問に、元NASAの異色の経歴を持つコミック作家が回答するサイエンスQandA。
たっぷりのユーモアとイラスト、豊富な科学知識と調査能力が合体したら、とんでもない作品が出来ました!ゲイツ氏もドハマり中です。
おすすめのTV番組と映画
「パンデミック ─知られざるインフルエンザの脅威─」
このドキュメンタリーシリーズでは、世界のさまざまな場所で感染病を阻止するために懸命に努力する4人を紹介しています。
このシリーズは少し前に撮影されたため、エピソードはコロナウイルスではなくインフルエンザに焦点を当てていますが、それはまさに今私達が直面している状況の、勇敢なる医師、研究者、援助者の仕事ぶりを彷彿とさせます。
「パンデミック」→アマゾンプライムビデオの字幕版で観ることが出来ます!
「ア・ミリオン・リトル・シングス」「ディス・イズ・アス」「オザーク」「この私、クラウディウス」
「ア・ミリオン・リトル・シングス」「ディス・イズ・アス」「オザーク」の3作品はビル夫妻が好きなテレビドラマ・シリーズ。
「THIS IS US」→アマゾンプライムビデオで観れます
「クラウディウス」は、雑誌のレビューに触発されてみてみようと思った作品。BBCのローマ帝国シリーズです。
映画「スパイ・ゲーム」
ロバート・レッドフォードとブラッド・ピットが主演したお気に入りの映画の1つ。
ゲイツ氏は少なくとも12回は観たというのですから、この映画の熱狂的ファンですね!
特別編: オンラインゲーム「ブリッジ」
意外なおすすめは、オンラインでやるトランプ・ゲームの「ブリッジ」でした。
お気に入りの対戦相手は、ウォーレン・バフェット(バークシャー・ハサウェイのCEO、世界4位の富豪)だというのですから、なんともゴージャスなブリッジになりそうですね。
読書に勝るものはない
世界的な外出自粛の動きで、家で過ごすことがこれからも多くなりそうな今年の夏。
たとえ家でのヒマな時間を潰すためのものを探している場合でも、読書に勝るものはありません。
これからの#STAY HOMEの時間を、ビル・ゲイツ氏おすすめの本やドラマで過ごしてみてはいかがでしょうか?