学校図書館

アクティブラーニングこそ学校図書館の出番です!

いま「アクティブラーニング」への取り組みが、様々な場所で話題になっています。
机上の論理ではなく、活用してこそ初めて活きる学びを子供たちに教えたい!
そんな取り組みの最前線を、図書館の活用ですすめてみませんか?

アクティブラーニングがなぜ注目されているのか

『調べる学習コンクール』をご存じですか?
正式には『図書館を使った調べる学習コンクール』といいます。
図書館を使った調べ学習の発表の場として、”生きる力を身につけ考える力を養う”ことを狙いに毎年実施されています。

第1回目の1997年開催時の応募作品は925件でしたが、2018年の第21回目にはおよそ100倍の91662件の応募があり、人々の関心の高さを見ることが出来ます。(公益財団法人図書館振興財団HPより)

そして、最近教育の現場でよく耳にするようになった『アクティブラーニング』という言葉。
2012年に中央教育審議会の答申の中で初めて公の場に登場しました。
本来、大学教育で用いられてきた学習方法(指導方法)でしたが、今では校種を問わずに全国の学校に広がりをみせています。
この学習法は、その後2017年公示の学習指導要領の中で「主体的・対話的な学び」と表現されて、小中学校の授業改善の取り組みとして明文化されました。

その背景には、日本の経済状態や社会の環境・構造の変化があります。
今までと同じ考え方・教育では今後の日本は立ち行かなくなる可能性が見えてきたのです。指示された通りにしか動くことのできない“知識重視型の詰め込み教育”では時代をリードする人材が育たないという危機感が、教育の現場に変化を求めることとなりました。

学修者にとっては受け身ではなく能動的で主体的な学び方になるような指導への転換が図られ、また教師にも新しい指導知識が必要となりました。

先に始まった『図書館を使った調べ学習コンクール』ですが、能動的な学びとしての趣旨が『アクティブラーニング』と重なり、いま注目すべき教育方法の一つになっているのです。

図書館活用がアクティブラーニングに与えるメリット

もともと教育の現場ではアクティブラーニングという言葉こそ使っていませんでしたが、同様の教育法は行われており、まるきり新しい分野というものではありません。
グループ学習・課題調べ・意見発表会などは従来実践されていた授業形態です。子供が進んで学習に参加できるように促す試みは、以前から教師の努力目標として示された課題でした。

ですから今求められているのは、アクティブラーニングのために新たな学習法を確立することではなく、いかに”深く”主体的で対話的な学習を実現するかが焦点となります。
その点から考えても、学校図書館(あるいは地域の図書館)を活用することはたくさんのメリットがあるのです。

メリット1.調べる基礎能力が向上する

図書館で調べ物をするときには、複数の媒体を利用することが出来ます。
図鑑、年表、辞典、新聞。
新聞データベースの活用や、各出版社で出している百科事典を読み比べることも可能です。

そして近年必須となっているインターネットによる検索もできます。
どのような事案の時にどんな調べ方をするのか。
それぞれに適した調べ方を取捨選択することも、大事なことです。

何事でもインターネットに頼ってしまいがちな現代において、紙面で調べることは正確な情報をつかむ確実な方法のひとつです。

メリット2.言語学習が充実する

図書館にある本を活用することで、音読・朗読・読み語りといった言語学習をすることが出来ます。

こういった音読活動は脳の活性化を促すだけではなく、間合いや相手の反応をみるといったコミュニケーション能力を育てることにもなります。

発展させると「ビブリオバトル」や「ブックトーク」、新聞記事を活用したディベートといった活動になり、より言語学習を充実させることが出来ます。

メリット3.探究的な学習ができる

図書館の資料を利用することによって、滞りなく一連の探究的かつ発展的な学習を進めることが出来ます。

<例>
日常や社会生活の中で湧き上がる疑問や関心に自ら課題を見つける

具体的な問題の情報を収集し、その情報を整理分析する

知識や技能に結び付けて解決に取り組む

考えの発表、意見の交換

新たな課題の発見、さらなる解決

メリット4.教材に活用できる

教員側から考えた時にも、教科書単元に関連した資料を多方面から把握することが出来ます。

例えば生活科や社会科、化学、公民などの授業での新聞の活用。
地域学習の際の郷土資料の利用や、英語多読資料として洋書を読むこともできます。
複数の教材を使うことによって、広がりと深まりのある学習になります。

また学習していることが実際の生活と関わっている実感を伴うことにも役立ちます。

学校図書館の充実こそがアクティブラーニングに役立つ

では学校図書館としては、どのようにアクティブラーニングを支えることが出来るでしょうか?

それは図書館としての充実にほかなりません。
第一に図書の選書・受け入れ・除籍・蔵書点検・配架の工夫といった図書館資料の整備です。
そして次に司書教諭・学校司書の配置充実と資質能力の向上です。

図書館資料の充実は、調和のとれた蔵書構成に関する知識のマンパワーが不可欠です。労働条件などの改善をして人員確保をしたのちに、学校司書の探究学習支援が出来るように取り組むことがベストです。

一番館内の資料に詳しいのは司書なのですから、アクティブラーニングに関わらない手はありません。
教師と授業の進めかた、揃えてほしい資料などの情報を積極的に共有しましょう。
必要であれば、司書が生徒に資料の使いかたの説明をすることもできます。

学校図書館を活用することにより、学校全体が学習にチームとして取り組む良さが生まれます。
授業や豊かになり内容が深まることで、目の前の子どもたちが変わっていくのです。

教育の基盤として、文化的な活動や体験を増やす学習の場として、学校図書館のハードソフトの両面の充実こそがアクティブラーニングに良い働きかけをすることは間違いないと言えるでしょう。

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