司書コラム

高校生に本を贈るなら「本屋大賞の作品」がおすすめ

「高校生に本の贈り物をしたいのですが、何を選んだらいいでしょうか?」と相談を受けることがあります。

学生にふさわしい贈り物と言えば本がいいと思うのだけど、何を基準に選んだらいいのかわからないので、オススメを教えて!というわけです。

そこで今回は、高校司書の目線で選ぶおすすめ本をご紹介したいと思います!

誕生日祝いやクリスマス、進級記念品など参考になれば幸いです。

読書レベルは人によって違うけれど

学校司書として高校生と向き合う毎日ですが、読書レベルと興味はそれぞれ全員が違います。

ですから贈る時は「贈る相手への期待値」を含めて選ぶことをお勧めしています。

期待値は相手へのメッセージです。
ですから、この知識を得て欲しい、この読後感を味わってほしい、という贈る側の主観を大事にすることがブレのない選び方が出来ます。

もちろん贈る相手の興味や関心も大事なのですが、本を買ったり借りたりする時には自分の興味ある分野しか選ばないので、ほとんどの人の読書傾向はだいぶ偏(かたよ)っています。

もし馴染みのないジャンルの本をプレゼントされることで、読書の新しいキッカケが生まれたら、それは本当に贈ったかいがあるというものですよね。

ですからあまり堅苦しく考えずに
コレ面白かった!
これ面白そう!
こういうこと知っておいて欲しいなあ!
今度一緒に話したいな、など
何かあなたの琴線に触れるモノがあれば、それでいいと思います。

実は高校生の読書レベルは、図書館のジャンルとしてはYA(ヤングアダルト)というカテゴリーになります。

でも高校生の読書は、大人向け一般書と同じでOKと考えていいと思います。

高校生は義務教育としての学びは終了していますので、しっかりと一般書から選んで頂ければと思います。

こけしちゃん
こけしちゃん
高校生の読書は大人と同じ本で!

読ませる力がある「本屋大賞」

本屋大賞(ほんやたいしょう)とは2004年に設立された、NPO法人・本屋大賞実行委員会が運営する文学賞です。

一般的な文学賞は専門の選考委員が選ぶのに対し、本屋大賞は「書店の店員」が読んで本当に面白い!と思った本の投票によって、ノミネート作品および受賞作が決定されます。

キャッチコピーは「全国書店員が選んだいちばん! 売りたい本」。

出版社や作家の影響や忖度を受けることもなく、理屈抜きに一般の人が読んで面白いと感じる作品類だけが選ばれます。

実際、本屋大賞の作品は売り上げ数とかなり比例しているところもあり、またその他の受賞作と重なっている作品も多いのが特徴です。

ですから、内容が面白いだけではなく、引き込まれ読むのをやめられなくなる、主題について考えさせられる、といった強い求心力を持ってある作品なので、理解力に未熟な高校生であっても読破しやすいのではないでしょうか。

実際、高校図書館でも本屋大賞の作品はとても人気があり、返却時に感想を述べ合う生徒たちがとても多いです。

「面白くて読むの止められなかったっす!」と『蜜蜂と遠雷』を返しに来たバレー部のTくん。

そのあと図書館常連の数学の先生がいらして「あ~Tくんね。さっき授業中読んでましたよ。でも『蜜蜂と遠雷』じゃしょうがないね~」なんて笑ってらっしゃいました。
いやいや、駄目でしょ(笑)!

こけしちゃん
こけしちゃん
映画化される作品も多いので、話題作はもらって嬉しい♪
太宰はん
太宰はん
読むのが止められない、という体験をして欲しいですね…

今までの本屋大賞からオススメ5冊


今年のノミネート作品もおすすめ!

毎年の年末、その1年間に発刊された本を対象に投票が行われ、翌年1月中旬に上位10作品がノミネート作品として公表され、4月初旬に大賞が決定します。

大賞はもちろん、ノミネート作品もいずれ遜色なく実力のある作品ばかりです。大賞が決まる前の「推し本」としても話題になること間違いないので、旬の本として選ぶのもおすすめですよ!

2020年本屋大賞ノミネート
  1. 線は、僕を描く
  2. 店長がバカすぎて
  3. 夏物語
  4. 熱源
  5. ノースライト
  6. むかしむかしあるところに、死体がありました。
  7. ムゲンのi
  8. medium霊媒探偵城塚翡翠
  9. ライオンのおやつ
  10. 流浪の月

まとめ

高校生・中学生には、是非背伸びした本を読んで欲しいと常々思っています。
だって今しか背伸びはできないのですから。

高校を卒業したら、もう大人と同じ扱いになるのです。
難しい一般書も等身大の読書になってしまいます。

そして面白くて止められなくなる本もいいのですが、小難しくて時間がかかりそうな本もたくさん読んで欲しいと思います。

何が書いてあるのかわからなくたって構わないのです。ただ何となく半分くらい理解できていればそれでいい。

それが背伸びしながら本を読むということです。

何年か後にもう一度読んだとき、あるいは何かの拍子にふと「あれはこういう意味だったのか!」と思うことがあるかもしれません。

それが背伸びで本を読む醍醐味だと思います。自分の心の成長を自分で感じることが出来るなんて、他にはない事ではないでしょうか?

背伸びが出来る時期はあっという間です。そんなチャンスをちょっとでも手助け出来たらと今回は記事にしてみました。たくさんのタネが若者に届きますように!

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