司書コラム

読書感想文の書き方3「書き出し」例文で今日中に仕上げよう

「1行目は書いたけど、2行目が出てこない…!」
読書感想文あるあるかもしれませんが、困っちゃいますよね。

もしかしたらそれ、
書き出し文を変えてみたら
うまくいくかも知れませんよ!

司書
司書
例文を参考にしてみてね!

書き出し文にもパターンがある

最初の一行でつまづくのには訳があります。

<つまづき例文>
私はこの本を読んで〇〇だと思いました。
その理由は…
理由は…
(…出てこない!)

たぶん1行目で思考が分断されてしまうのですよね。

面白かったとか、感動したとか書いてしまうと、もうそれ以上の言葉が浮かばなくなってしまうからなんです。

連続した文章を書いていくには、気持ちの詳細な変化を綴る必要があります。

そのためにも冒頭の文章には、ある程度の勢いがあるほうがいいのです。

「セリフ」で始める

「私は撃たれた友の声になる。」
なんという力強い言葉だろうか。そして、こんなにも惹きつけられるのは何故なんだろうか。・・・

引用;『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』アンジー・トーマス著

「シロクマがハワイより北極で生きる方を選んだからといって、誰がシロクマを責めますか」
このセリフに私は何度救われただろう。・・・

引用;『西の魔女が死んだ』梨木香歩 著

冒頭をセリフで始める技法は、なかなか印象的です。

特に最も感動した部分のクライマックスであれば、そのあとの自分の感情を表現しやすいというメリットもいっぱい。

そのセリフが発せられた背景とは?
なぜそのセリフにあなたは衝撃を受けたのか?
そのセリフはあなたにとってどのような意味を持つのか?

これならスラスラと書けそうじゃないでしょうか。

セリフに続いて自分の感情を文字にして、早速書き出しましょう!

「引用文」で始める

「神様は誰にでも何か一つ宝物をくださる。」
翔子さんのお母様の言葉に、私は涙が止まらなくなってしまった。
この本は書道家の金沢翔子さんの物語。私がずっと続けている大好きな書道のことが描かれている・・・

引用;『希望の筆:ダウン症の書家 金澤翔子物語』丘修三 著

「適切な距離は人によって違う」
この文章を読み、そうか!と目の前が開けた気持ちになったのは私だけだろうか。
・・・

引用;『友だち幻想』菅野仁

心に響いた文章を書くのも、セリフと同じ手法ですね。

セリフと同様に、
なぜその文章に衝撃を受けたのか?
その文章はあなたにとってどのような意味を持つのか?
を詳しく書いてみましょう。

会話文よりも文章を引用したというのは、主人公や登場人物とあなたのシチュエーションがピタリと重なっていたから、ということです。

どの部分が重なっていたのか、その重なりの部分を分析するように考えて見ると、洞察の深い文章が書けると思います。

キーワードで始める

「共に生きる」というのは、どういうことだろうか?共生という言葉がよく使われるようになって何年も経つが、私の中ではまだまだ定着していない言葉の一つだ…

引用;『自由への長い道 ネルソン・マンデラ自伝』ネルソン・マンデラ著

「十五年」。その長い年月を一冊の辞書に捧げるとはどんな気持ちになるものだろうか…

引用;『舟を編む』三浦しをん著

キーワード、とは、その物語の中で核となる言葉だったり、何度も何度も出てくる言葉のことです。

それは、物語の主題・テーマであることが多い。つまり作者が一番描きたかったこと、伝えたかったことです。

そのテーマにまっすぐ繋がる文章をド直球で行くわけです。

この方法は、読み応えのある本に真正面から取り組む経験ができます。

多くは社会現象だったり、問題とされている事象だったり、課題解決につながるような考え方ですが、読書によって変化する自分自身の内面を見つめてじっくり書いてみてはどうでしょう?

自分でも驚きの変化があるかも知れませんが、それをそのまま受け止めて、考えてみるのです。

それだけでも素晴らしい体験になるはずです。

「心の声」で始める

僕は図鑑を読むのが好きだ。特に通常では見ることが出来ないような鉱石図鑑や原子図鑑。読んでいると、時間も忘れて僕の心はミクロの世界に入り込む…

引用;『世界で一番美しい元素図鑑』

 

「敵前逃亡」
まさに私の気持ちはその通りだった。防衛本能と後ろめたさが、私をぐるりと取り囲んでいた・・・

引用;『西の魔女が死んだ』梨木香歩 著

キーワードで始める書き方と似ていますが、こちらは”自己変革の表現”ともいうべき書き方です。

読後に成長した自分の新たな視点で、その過程を書いてみましょう。

自分の思いを綴る時、必ずしも流暢な語り口や、難しい言葉を並べる必要はありません。

読書から受けた自分の感動の正体を確かめるような、自分なりの感じ方を丹念に書いた素直な文章のほうが好感が持てます。

司書
司書
難しく書こうとしないで大丈夫!自分の言葉で素直な思いを書こう。

まとめ

書き出し文の4パターン

1,セリフで始める
2,引用文で始める
3,キーワードで始める
4,心の声で始める

文章の初めは、その後の文章を左右する大事な役割を担っています。

いかに読み手の注意を引きつけるか。
この一言に尽きるような気がします。

自分の書きたいこととピタリとハマったときの気持ちよさ!

さあどのパターンで書き始めましょうか?

合わせて読んでみよう