司書コラム

いまこそ学校図書館の活用を!新型コロナのピンチをチャンスに

アクティブラーニングで注目された以来でしょうか。再び「学校図書館」の名前が表舞台に上がってました!

新型コロナの影響での子どもたちの学びの危機に際して学校図書館の存在が、文科省のホームページでもクローズアップされています。学校司書として、非常に嬉しいと感じています。

ですが、今は実際の図書館利用とは違う形での注目で、戸惑っている司書の方も多いのではないでしょうか。今回は、今までとは違うアプローチが求められています。

しかしピンチはチャンス!
いまこそ図書館にしか出来ない学びを通して、学校図書館の存在を強く前に出していきたいですね。

「読書」が人生に与える役割を伝える

読書は、語彙を広げ、感性を磨き、表現力を高め、想像力を豊かにし、人生をより深く生きる力を身に付ける…

これは文部科学省が、今回の読書推進についてかかげた言葉。

そう、その通りなのです。でも立派過ぎてなんだか子供たちの心の上をスーッと通り越してしまいそう…と思うのは私だけでしょうか。

今の子供たちの状況は、思った以上に孤独です。

家に家族や兄弟はいるかもしれない。けして一人ぼっちなわけじゃないし、スマホのアプリやメールで友達とのやり取りも出来ているけれど、「触れ合い」が無いのです。

クラスメートの、友人同士の、部活の先輩後輩の、先生との、毎日の何気ない交流がどんなに毎日の生活に活気を与えていたことか、とつくづく思ったのではないでしょうか。

どうしても心が内側に向かってしまう今、自分を見つめる時にそっと寄り添うように、彼らの傍らに本があったら、どんなに心強いだろうと思うのです。

本は頼れる友人のようなもの。

不安な時も孤独な時も一緒にさまよう相棒となり、また、心休まる時間も与えてくれます。

何も立派な目的を持って読まなくても良いと思うのです。たくさんの娯楽に囲まれている今は、選択肢の一つに「読書」があるだけでも、過ごす時間の質が違うのでは…と思います

学校ホームページで「ウェブ図書館だより」を発信

一番最初に出来るのは、ITC教育の活用です。

今は学校のホームページに「図書館だより」を公開しているところもあると思いますが、この機会に臨時的にでも図書館発信のページを作るのが一番現実的ではないでしょうか。

年度末の3月から休校要請が始まりましたので「一年の集計」をお知らせするのも良いと思います。

特に「みんなは何を読んでいるのか?」は生徒の食いつきもよい企画。貸出回数が多かった本の紹介、学年別・コース別・昨年との分野の比較など、色々カラーが出て面白いと思います。

また休校中の新刊の案内もおすすめです。生徒が購入したくなるくらい上手に案内できたら成功だと思います。書店員さんのPOPの気迫で攻めるのも手だと思います。

今はどちらの本屋さんでも「新書」が売れていると聞きますので、新刊新書で流行の「芋づる式おすすめ本・○○学校版」を載せても楽しいかもしれません。

先生方からのおすすめ本特集は「ありきたり」ですが、未だに生徒に興味を持ってもらえる企画です。本を通して先生の内面を見るのでしょうね、何となくその心理わかりますが。

私は「古典もいいのですが、今年1年以内に(できれば半年以内)新しく読んだ本を勧めて下さい」とお願いしています。20年前の読書話もいいですが、やはり読書界にも新しい風が必要です。新鮮な感想の方が言葉に説得力もある気がします。

それから「青空文庫」の活用も知らせておきたい情報です。営利目的ではない活動なので安心して勧められる点と、誰でも無料で登録なしで使える点も、今回の企画にぴったりだと思います。

https://donguri5.com/book/aozorabunko

反対に、「今読みたい本」は個人的には少し難しい企画だなと感じています。受け取り方は生徒それぞれなので、繊細な生徒は、選書に全く無い他意を感じてしまうこともあるかもしれません。判断が難しいと思っています。

休校貸出の実際的な取り組みとは

地域に根差した学校でしたら、例えば学校図書館の開放もあり得るかもしれませんが、通学範囲が広い学校(高校など)になるとそれも難しいと思われます。

例えば、希望図書を宅配で貸し出しをする取り組みなどは、感染防止の上からもとても良い企画であると思います。

実際の貸し出しに繋がる企画を考えられれば、これからの展開も広がり素晴らしいと思います!

https://donguri5.com/librarianship/school-librarian/takuhaikasidasi

登校日に短時間で貸し出すアイディアを

地域によっては、段階的に授業を再開する動きも出てくるようになるでしょうが、それでも学校図書館はどうしても密になりやすい空間です

そんな中で、短時間でなるべく接触なく貸し出す工夫をしてはいかがでしょうか?

私が以前おこなった企画なのですが、いわゆる「本の福袋」も復活させようかと思っています。

ジャンルごとに2~3冊一緒に、題名をわからないようにして貸し出す「読書ミステリーパック」といったとろでしょうか。普段自分では選ばない本も読む機会になったとして、好評でした。

これなら本を選ぶ手間なく、カウンター周りだけの短時間で図書館を利用してもらうことも可能です。

その他にも、返却ポストの活用も大事ですね。なるべく対面の機会を減らすことが出来るように、この時期だけは司書がいたとしてもポストに返却してもらうのが良いと思います。

なにかもっと出来ることが無いか探しながら、新しい学校図書館の可能性を探るのも楽しいと思います。

今は学校司書自身の学びの時間と思ってもいいと考えながら、日々勉強に励みたいと思います。