司書コラム

学校図書館のコロナ対策はどうする?開館時間・閲覧席の利用・PC利用は?

新型コロナウィルスの影響で現在休校中の学校が多いと思いますが、登校日などで学校を開くこともあると思います。

その時、学校図書館として必要な対応案とは何でしょうか?

長く続く休校日のために、生徒にはたくさん本を貸してあげたい!

でも、混雑による館内の感染は避けなければ…というジレンマ。

同じ問題に直面する学校司書の方も多いと思いますので、資料作りの過程で調べたことをご参考までに記します。

公共図書館のコロナ対策はどうなっている?

同じ「図書館」として、自治体の運営する公共図書館は現在どのような対策をとっているのでしょうか?

不特定多数の人が訪れるために臨時休館に踏み切った施設もありますが、来館者の長時間滞在などを制限した上開館している施もあります。

新聞を情報源・娯楽とする高齢者も多いのですが、図書館も厳戒態勢の措置を取らざるを得ない状況です。

休館しているのは規模の小さい図書館が多く、拠点となる規模の大きな図書館は条件を設けたり制限を加えるなど、工夫を凝らしながら運営を続けています。

各図書館でコロナ対策として取っている措置を拾ってみると、以下のようになりました。

<コロナ対策として取っている措置>

  • 来館者の入館時の手洗いと消毒のお願い
  • マスク着用を促す
  • 上映会やおはなし会などの館内イベントの開催中止
  • 利用者が滞留しやすい新聞や雑誌の閲覧を休止
  • 長時間のレファレンスと資料検索サービスの休止
  • 閲覧席及びラウンジの利用休止
  • インターネットなど機材使用を休止
  • 複写サービスの休止
  • 開館中もブックポストへ返却
  • 電話やメール、ファクスで予約した場合のみ利用できる

文部科学省から学校図書館への通達

文部科学省が初等中等教育局健康教育・食育課名で、事務連絡「新型コロナウイルス感染症対策のための小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における一斉臨時休業に関するQ&Aの送付について(3月9日時点)」を発出しています。

問44に「学校臨時休業中の図書館の開館、利用は可能なのか。」という項目があり、総合教育政策局地域学習推進課からの回答が掲載されています。

詳しくは下に引用しますが、簡単にまとめると

  • 休校中の学習ツールとして読書活動は推進したい。
  • 感染拡大を防ぎながら対応して欲しい。
  • 開館するかどうかは、所属母体と連携を図って各自の判断に任せる。

ということになります。

問44 学校臨時休業中の図書館の開館、利用は可能なのか。

○ 子供の読書活動は、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものです。

○ 公益社団法人日本図書館協会が2月28日に公表した「新型コロナウイルス感染症による学校休校に係る図書館の対応について」では、「学校が休校になった場合、児童生徒が図書館(中略)を訪れる可能性は高いと思われます。各図書館・学校図書館におかれましては、自治体、教育委員会、設置母体等と、密接に情報交換・協議をして歩調を合わせ、それぞれの地域の状況に適した、感染拡大を防ぐ対応を図っていただきたい」とされています。
各図書館の開館、運営については、こうした点を踏まえ、適切に判断していただきたいと考えます。

○ なお、各図書館では、
①一人当たりの貸出冊数を通常よりも多くしたり、貸出期間を通常よりも延長したりす
る。
②休館中でも事前に予約した本の貸出等は行う。
③学校図書室を、児童の自主学習スペースとして活用する。
等の柔軟な取組も行われています。こうした例も参考にしていただくようお願いします。

(引用:文部科学省「新型コロナウイルス感染症対策のための小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における一斉臨時休業に関するQ&Aの送付について」)

絶対ルール「3密」軸の図書館対策

コロナ対策としての3密ルールは絶対守るべきところですので、その3密を軸に対策を立てることにしました。

きこ司書
きこ司書
資料作成にあたって、行動できることを箇条書きで並べてみました。

<図書館対策として出来ることは?>

  • 貸出冊数と日数を増やす
  • 生徒が滞留しやすい新聞や雑誌の閲覧を休止
  • 開館時間を制限し長時間利用の休止
  • 閲覧席及びラウンジの椅子の間隔をあける
  • 学年ごとに利用時間を分ける
  • 人数が増え過ぎたら入れ替え制にする
  • ビブリオバトルなどのイベント開催の延期
  • パソコンなど共有機材使用を休止
  • 開館中もブックポストへ返却
  • 図書委員会活動の休止
  • カウンターの対面業務を極力減らす
  • 分配書架として学級文庫の利用
  • ドア入り口で手指消毒
  • マスク着用を促す

学校図書館として学校教育で出来ること

4月初旬の現時点では、東京を基準としてゴールデンウィーク明けを再開にする学校が多いようです。

およそ一か月スタートが遅れることになると、今後の学校側の一番の課題は、年間の授業時間数の確保になるでしょう。

実技が多いために授業数を重視する科目もたくさんありますし、教科書を読むだけの勉強は指導者抜きでは難しいのは当然です。

なにより学校には授業以外にも大切なことはたくさんあります。特に学校行事には、行事を通して子供たちの社会性を身に付けたり、協調性や感受性を育む目的があります。

ですから最初から中止にするのではなく、行事の内容を見直してなんとか延期にしても立案したいと考えている先生方がほとんどです。

きこ司書
きこ司書
取捨選択しなくてはならない学校教育の中で、学校図書館は何が出来るかしら?

今後も新型コロナウィルスの感染状態は予測がつきません。再開したあとも通常の学校生活が送れるとは限らない状況になります。

このような状況の中で、学校図書館がするべき対応はどのようなものになるでしょうか。

例年以上に各学年のシラバスをよく読み、資料が必要とされている教科や授業について「担当教諭」「必要な資材・資料」「時期」を打ち合わせていく必要があります。

特に時期については、昨年度の年間計画からずれる可能性が大いにあるので注意が必要だと感じています。

研修旅行や修学旅行用など、公共図書館と連携しての資料貸出サービスの申請時期も違うのであれば、先方に連絡も必要です。

植物観察などが実地観察できないことを想定したりして、参考資料(DVDなどの動画資料含む)の購入を考えるのもよいかもしれません。

今年一年は図書館に出来ることを先読みして考え、先生方に提示する姿勢で図書館を運営するつもりです。

ピンチはチャンスです!図書館が出来ることの新たな発見と、魅力を理解してもらる良い機会になるよう、間口を広げて活動してみてはいかがでしょうか?

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