司書コラム

北九州の学校感染から学ぶ「学校図書館の対策」で改善可能な点は?

北九州市で起きている新型コロナの第二波と思われる動き。

全国的に感染が落ち着いてきている時期に、北九州市で6月16日、児童6人の新型コロナウイルス感染が判明し「学校クラスター(感染者集団)が発生した疑い」が判明しました。

この記事では、厚生労働省のクラスター対策班の報告から『学校図書館の対策に応用できるポイント』を探り、感染防止の対策をさらに改善したいと思います。

学校集団感染の主な感染源は?

集団感染があったとされるのは、北九州市小倉南区の守恒小学校。

厚労省対策班のまとめた報告書によると

学校集団のおもな感染源は

  1. 授業中
  2. 登下校中

北九州市では学校におけるコロナ対策は強化していたようですが、それでもクラスターが起こってしまいました。

北九州市における「学校での感染予防の取り組み」

感染症対策の基本となる「手洗い」や「咳エチケット」とともに、健康観察の徹底、咳・鼻水・発熱のある児童生徒のマスク着用、ドアノブ等の消毒、教室等のこまめな換気を行っています。

また、感染予防及び感染拡大防止のため、児童生徒のみなさんや教職員に発熱等の風邪の症状が見られるときは、無理をせずに学校を休み、自宅で休養するようお願いしています。北九州市HPより)

厚労省の対策班がまとめた報告書の内容

学校関連における集積事例

〇小学生は大人の感染から探知され、同じクラスの児童で陽性者が確認された。

〇中学生は発症し、医療機関で新型コロナウィルスの感染が疑われたことで探知され、学校外のクラブや個人的な接触のあった生徒から陽性者が確認された。教室内で座席が近い生徒での発症および陽性者は確認されていない。

〇6月10日現在、無症状の陽性者のうちフォローアップ中に症状を認めた者はいない。

守恒小学校における所見

〇着席した児童がおしゃべりする際に、体の向きをかえたりすることにより、近くなっていた可能性がある。

〇感染が判明した児童の中には、仲が良く、一緒に遊んだことや下校したことなど、接触の機会が確認された。

 感染伝授の機会の可能性としては、授業中や授業以外(休み時間、登下校の間、校外)の活動中が考えられるが、完全にこれらの機会を排除するのは非常に困難であることから、排除可能なリスクは排除したうえで、教育や日常の交流機会を失うことのないようにする。

そのため、

  • 小児科医や感染管理専門家、保健所の助言のもと、柔軟に対応していく。
  • 平時、および陽性者が1例確認された場合の対応を、児童の家屋にも周知する。

結果のまとめ

〇散発型の発生とほぼ同時に、学校(5施設)における集団発生が認められた。

〇施設ごとの陽性者に占める無症状者の割合が高い。

〇学校の対策について、改善可能な部分があった。

提言

【学校】
〇平時及び発生時の対策について、小児科医、校医、感染者管理の専門家、保健所などの専門家と連携をとる体制を整える。

〇必要に応じ、校医や職員に対して、感染管理専門家によるトレーニングを実施する。

【教育委員会】
〇感染管理に不慣れな学校等が、感染管理専門家へコンサルタントできるよう支援する。

学校図書館でもっと改善できるポイントは?

今回のポイントは、学校対応として授業中など対面や3密の状況・状態を作り出さない、共有部分を消毒するなどの対策をとっていても、それ以外の部分の「交流接触」が感染源になったことです。

言ってみれば、学校図書館も授業で使うとき以外「日常の交流機会」の最たる場所ではないでしょうか。

しかし「交流」こそが、オンライン授業では得られない学校での学びであり、楽しみでもあることです。

交流が感染源である、でも交流こそが学校で学ぶことの意義である…この相反する2つをいかに安全に共存させられるかが、次の課題になるのではないでしょうか?

【具体的な改善案】

  • 館内の椅子を対面ではなく、一方向に揃える
  • 読書机を島型(アイランド型)から、分散型に配置換えをする
  • クリア素材のついたてなどを適宜設置する
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