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『チーズはどこへ消えた?』は何故ビジネス界のバイブルなのか?

続編『迷路の外には何がある?』も出ましたが、このチーズはどこへ消えた?』は全世界で2800万人の読者を持つ大ベストセラーで、ビジネス界のバイブル的存在です

IBMやアップルコンピュータ、メルセデス・ベンツ等、世界のトップ企業の社員教育に次々と採用されています。

内容はいたって簡単で、文章もやさしく、大人の童話とも受け取れますが…
実はこの単純で明快な物語だからこそ、読む者の視点でいくつもの解釈ができるようになっています。

この記事では何が象徴として書かれているかを読み解き、あなた視点の物語として読めるように解説します。

登場アイテムに隠された本当の意味

この物語に登場するのはネズミが2匹・小人(こびと)が2人。
彼らは迷路の中に住み、チーズを探すというストーリー構成です。

ある者は現状に満足して同じところに留まり、ある者は常に新鮮なチーズを探して飛び回り、四者四様の行動が見て取れるのですが―

実はここに登場するもの全て、ビジネス界あるいは私達の生活そのものに置き換えて考えることができるのが、この話のよく出来たところなのです。

まずは主役ですが、ここではネズミと人間に特に大きな違いはありません。
ネズミは考えるよりも体が先に動く行動が単純なタイプ、小人はじっくりと考えてから動く複雑なタイプと考えます。

そしてチーズは人生で求めるもの、迷路はチーズを追い求める場所の象徴です。

彼ら四人は迷路をさまよった末チーズを発見しますが、ある日そのチーズが消えた!

ネズミ2ひきは本能のままにすぐさま新しいチーズを探しに飛び出していきます。

しかし、小人2人は チーズが戻って来るかも知れないと期待をかけますが、やがて一人が新しいチーズを探しに 旅立つ決心をします-

…という話が核となって本書が出来上がっています。

ではわかりやすく、まとめてみましょう。

  • ネズミ(スニッフ)・・いち早く変化をかぎつける人
  • ネズミ(スカリー)・・すぐさま行動を起こす人
  • 小人(ヘム)・・・・・変化を認めず、変化に逆らう人
  • 小人(ホー)・・・・・うまく変化の波に乗ろうとする人
  • チーズ・・・・・・・求めるもの(仕事,家族,財産,健康,名誉など)
  • 迷路・・・・・・・・求める場所(会社,地域社会,家庭,仲間内など)

4通りの主人公の性質は、私達みんなが持っている単純さと複雑さを象徴しています。

この一見シンプルな物語には、状況の急激な変化にいかに対応すべきかを解く内容が込められているのです。

なぜ読み継がれているのか?

あなたが「迷路」を置き換えるとしたら何になるでしょうか?

ビジネス・職場や学校の人間関係・友人関係・結婚生活・人生・社会問題…たくさん出てきますね。

次は更に「チーズ」を加えて考えますが、あなたが今一番価値があると思えるものは何でしょうか。
迷路の種類によっても違ってくると思いますが、もしかしたら迷路とチーズの種類が全く違っていて自分でも驚くかもしれません。

それぞれのチーズとは、人生で求めるもの

この本では、現状維持は後退を意味すると説きます。
常にチーズは減ってきていますが、その現実に私達は意外と気が付いていないような気がします。

「変わらなければ破滅することになる」
ドキッとさせられる言葉です。

私は今どんなチーズを持っているだろうか?
それとも今はまだチーズを探している最中なのだろうか?
そもそも私にとってチーズとは何だろう?
私が今とっている態度は、ネズミか?小人のどちらかか?
私の現状の行動は私にとって最適なものか?

自分はどうでしょうか。

変化の波に乗ることが出来る人とは

物語のキーを握るのは、登場人物の小人「ホー」です。

<div class=”simple-box7″><p>大量のチーズを持ったことに漫心して突然(のように彼には見えた)消えたチーズに茫然としますが、ずっと現状分析と事態の好転を待つだけだったホーの心の内に、少しずつ変化が芽生えます。</p></div>

その過程を、読者は追体験として学びながら経験していくのですが…

この物語の「肝」は、読者(主人公)がいかに早く変化に気づき、現状を受け入れ、打破して突破口をひらくことが大切かにあります。

今日は昨日の続きですから、ほとんどの人は変化にいち早く気づくことなどできません。
しかし、それではいけないと本書は語ります。

ネズミ達のように、誰より先に気付く嗅覚をもつこと、或いは嗅覚を持とうと努力することこそが、全ての事の処し方に大切なのです。

しかし人間には複雑な感情があります。
理性だけで動けない時もあるから、苦悩するのですよね…それでは駄目なことを、自分で自身に諭すことが出来るのがこの本です。

だからこそ、初版の2000年から人気が途切れずに、たくさんの読者を魅了してきたのだと思います。

読解のキーワード

  • 変化は起きる
  • 変化を予感せよ
  • 変化を感知せよ
  • 変化にすばやく適応せよ
  • 変わろう
  • 変化を楽しもう!
  • 進んですばやく変わり、再びそれを楽しもう

仕事や人生で同じところをぐるぐる回っていると感じる時、この本はあらゆる状況に対して迅速に対応できる柔軟な視点を与えてくれます。

何度も繰り返し出てくる「変化」「すばやさ」という言葉。

人生においても大切な事ですが、ビジネス」で考えた時には最も重要な部分になります。だからこそこの本がビジネス界のバイブルと言われる所以なのでしょう。

自分の行動は今の状況で最適なものか?と自分に問うことが出来る人は強い。
常に変化に適応する人材になれるよう、努力し続けよう!と決心出来たら、本書を愛読書にした意味があると言えるのではないでしょうか。

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