学校図書館

学校図書館は不要本を処分しよう!廃棄本の「5つの基準」

学校図書館は「保存図書館」ではありません!

世にあるものは何にでも代謝は不可欠です。
入る→出るの流れが無ければ、維持も成長もスムーズに進まなくなってしまうのではないでしょうか?

図書館も同じです。
どうしても規模の単位として「蔵書数」に注目しがちなのですが、最近は「読まれない100冊より読まれる50冊を!」という考え方が主流になっています(たとえの冊数が極端ですけどね)。

断捨離と違って、学校図書館には必要最低限の本があれば良いわけではありません。読書の可能性を広げるために出来るだけ多くの本を持つべきですが、予算には限度があります

そこで注目したいのは「学校図書館は保存図書館ではない」という考え方です。限られたスペースで行われる図書館活動では、すべての本を自館で保存しておくことには無理があるからです。

利用頻度の低い本や古い資料などは基準に沿って廃棄します。

今までもあまり使われていなかったということは、これからも同じだと考えることが出来ます。

もし使う必要が出来た時には連携した公共図書館から借りることにすればよいのです。

その分自館の書庫スペースを有効に使うことが出来ます。

また、借りるという選択肢を持つことによって、自校に入れる本の幅がぐっと広がります。

ひとつの例として

私の勤務校では、研修の行き先が毎年変わります。

ですから今年の行き先の資料本をたくさん揃えても、次の年にはまったく使われないのです。

そこで毎年研修先が決まったら、連携している公共図書館から研修前に30冊ほど借りることにしました。

自校では買うのをためらうような高価な写真集や美術画集、また詳細なテーマの本も生徒に提供出来るので、本当に助かっています。

1か月ほど借りられるので、生徒は休み時間に自由に閲覧したり、先生に告知して授業の中で活用してもらったりして評判も上々です。

保存図書館との連携がわからない場合は、所属の教育委員会もしくは市や県の図書館に問い合わせてみてください。

うちは私立高校ですが、もちろん何の問題も無くお借り出来ています。

【出す】学校ごとに廃棄の基準が決められている

廃棄するからと言って、司書の独断で勝手にポイポイ捨ててよいわけではありません。
まずは前任者からの申し送り事項の確認をしましょう。

学校図書館には、たいてい独自の自校ルールがあります。
その図書館の特色を活かす先人達の知恵なので、まずはそれにのっとり対象本を仕分けます。

その後、司書教諭や校内の図書館担当者(図書廃棄委員会を作るのが理想)で検討会議を開き→校長の決済を受け→公立学校の場合はその後教育委員会に申請承認後に除籍事務を行って廃棄という段取りになります。

私立学校の場合は教育委員会の決済は必要ないので、各学校のルールに従います。

もし自校に廃棄基準が無い場合は、全国学校図書館協議会が制定した「学校図書館廃棄基準」を利用・参考にするのがお勧めです。

まとめましたので、以下で!

【出す】一般的な図書館廃棄基準の「5つの基本ルール」

一般的な図書館の廃棄基準「5つの基本ルール」
  1. 内容・資料が古くて使えない
  2. 新しい学説や理論が載っていなくて使えない
  3. 変色などが激しく、間違った情報を伝えそうだ
  4. ほとんど利用されず、保存用ではない
  5. 種別の保存年数を過ぎているものは新旧交代させる

種別の保存年数の目安

・百科事典と専門事典は刊行後10年
・ハンドブックと要覧は新版が出たあとの旧版
・伝記は新史料の発見で評価がすっかり変わったもの
・地図帳は刊行後5年、地名に変化があるもの
・歴史地図帳は刊行後10年
・旅行案内書は刊行後3年
・地誌は刊行後5年
・法律書と法令書は刊行後5年、或いは改正があるもの
・人権関係書は内容に人権擁護上問題が明らかなもの
・政党関係書は刊行後3年、政党の現状理解にそぐわないもの
・時事問題関係書は刊行後3年
・学習参考書は刊行後3年、或いは学習指導要領が変わった時
・就職案内書は刊行後2年
・技術書と実験書は刊行後3年、説明が古い、安全上問題がある時
・公害環境問題関係書は刊行後5年、最近の研究成果が記載されていないもの
・料理服飾関連は刊行後3年、新技術や素材やデザインが記載されていないもの
・スポーツ関係は刊行後5年、ルールの改定があるもの
・辞典は記述に重大な誤りが発見されたもの
・翻訳書と翻案署と抄訳書は新版が出た後の旧版

参考:全国学校図書館協議会

注意!年鑑・白書・郷土資料・貴重書は、原則として廃棄しない!
特に郷土資料と貴重書は大事な物なので大切に保管しましょう。

年鑑と白書は、各校の使い方次第で廃棄可能にすることもあります。
例えば新聞年鑑は全国紙以外は処分する、白書は過去10年分だけ保管する、キャンパスがわかれている場合は本館だけが保管する、等々。
担当者内で検討してみて下さい。




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