日本の全大学は、7年に1度、教育内容や運営状態が適切かどうか外部機関に審査を受けることになっています。
その評価機関となっている「大学基準協会」(文科省認定)が調べた結果、7つの大学に「不適合」という評価を行いました。
不適合の7つの大学はどこ?
不適合になった理由は?
不適合の大学に入学したらどうなるのか?
をまとめて紹介します。
基準協会で不適合になった7大学はどこ?
「大学基準協会」は、2月5日に新たな判定を出し、7つの大学について2013~17年度に「適合」とした評価を「不適合」に変更したと発表しました。
不適合になった大学(すべて私大) |
順天堂大学 |
日本大学 |
岩手医科大学 |
金沢医科大学 |
北里大学 |
福岡大学 |
聖マリアンナ医科大学 |
不適合の場合、大学側は文部科学省の一部の補助金(教育プログラムに対する国の補助金など)を申請できなくなります。
この調査機関は、大学教育の質や入試の公正性などを評価する「公益財団法人・大学基準協会」(東京・新宿),文部科学省の認証を受けた評価機関の一つです。
今回、文科省が18年12月に公表した医学部入試の緊急調査結果を受けて、問題のありそうな大学の再評価を進めていました。
大学基準協会から不適合評価の理由は?
大学基準協会が見る3つの観点
①「学生の受け入れ」について、大学基準で求められている、学生の受け入れ方針に沿った公正かつ適切な学生の受け入れが実施されているとはいえないこと
②「管理運営」について、学生の受け入れに係るガバナンス※が十分に機能しておらず、適切な管理運営が行われているとは判断できないこと
③「内部質保証」について、自己点検・評価が適切に実施されていないこと等
※ガバンナス=管理体制、組織の統治
今回の焦点は
今回の焦点はズバリ「学生の受け入れ」「管理運営」が出来ているか。
医学部の不適切入試では18年8月、東京医科大で女子や多浪生らを不利に扱う得点操作が発覚し、同協会は19年3月に東京医大の評価を「適合」から「不適合」に見直しました。
それを受けて、弁護士や大学教員らでつくる調査分科会では、不適切な取り扱い・不適切な取り扱いをした可能性の高い他の大学についても、緊急に再評価する動きがあったのです。
再評価の参考にしたのは各大学や第三者委員会による報告書、入試の関係資料、大学関係者へのヒアリング結果などです。
同協会としても最終的に女子や多浪生を不利に扱ったり、卒業生の子供を優遇したりしたことを認定し「公正な学生の受け入れ」「適切な管理運営」といった評価基準を満たしていないと判断したようです。
不適合の大学に入学したらどうなるの?
不適合評価を受けた大学はどうなる?
「不適合」とされた場合でも、1回の不適合だけで、大学の補助金や補助金などが廃止や減額になることはありません。
改善を報告して追評価を受け、認められれば「適合」を取り直すこともできるので、ほとんどの大学が問題点を改善して不適合評価を解消しています。
またこの機関だけが絶対的な評価にはならないので、それだけを直接の理由として国から行政処分等が課されることはないようです。
ですから、「大学として認められず、学位や学士すら無駄になる」ことはないので、入学希望者の受験生はどうぞ安心して頂きたいと思います。
まとめ
各大学は5日、「不十分と指摘を受けた事やその他の課題を改善していく」(日本大)、「既に改善しており、追評価に向けて準備を進める」(聖マリアンナ医大)などとするコメントを発表しています。
実は日本にはその他にも大学の評価機関が存在していて、「独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構」(東京都小平市)、「公益財団法人、日本高等教育評価機構」(東京・千代田)などは、今回名前の挙がった大学ではないのですが、違う評価をしていたりもします。
いずれにせよ、問題があると指摘された大学は改善し、よりよい教育を目指すことになります。
これからも日本の学問機関として、若者の知の育成にクリアな存在であって欲しいと思います。