学校図書館

学校の定番「朝の読書」。図書館が支援できることはなにか

大事なのは基本の『4原則』

朝の読書4原則-たったこれだけ‐
  1. みんなでやる
  2. 毎日やる
  3. 好きな本でよい
  4. ただ読むだけ

感想や教訓などを求めては読書が苦痛なものになってしまうので「ただ読むだけ」。
原則として、雑誌やコミック類は自宅で読むものとして除外します。

朝の読書の2つの課題

「集中」の問題

朝の読書をする時の問題は「集中できない生徒がいる」と「本を準備できない」の大きく2点に分けられます。
その時間に本を読んでいない生徒は、大抵騒いでいる(私語をしている)か何もしていないかのどちらかです。

日常接している生徒たちの表の顔からは何もわかりませんが、だんだん親しくなるとその内面には友人や親子関係や成績などたくさんのモヤモヤを抱えていることに気づきます。
夜間の自宅のベットで悩んだその感情のまま学校に来て、そして授業が始まって…では授業に集中できないのは無理がありません。

しかし多少の強制ではありますが、朝の読書の時間を設定することによって日常の感情が一時的にシャットダウンされます。
もちろんあまりにも感情が高ぶっている時には文字さえ頭に入らないのですが、それでも本を出して広げる行為と周囲の静寂さがクールダウンにつながります。

習慣化されるまでは、多少強引にでも読書の時間を設定する必要があります。それは言わば読書に対する“動機づけ”になります。
毎日同じ時間に同じ環境で本を開き読み始めるという環境に慣れれば、読書に没頭するまでの時間が短縮し、集中化は容易です。

例外のない全校一斉の朝読書実施」が、一つ目の課題である”集中できない”を解決するのです。

本を「準備できない」生徒

2つ目の課題である、”本を準備できない”はどのように解決すればよいでしょうか。
時間中に何もしていない生徒のほとんどがこれに相当します。
時間的な余裕のなさもあるでしょう、金銭的なこともあるかもしれません。

しかし、これこそ図書館が支援できる役割のはずです。
そのために図書館はいつでも無償で門扉を開いているのですから。

問題は、本を準備できない生徒にとっては図書館の敷居が高いことです。
教室からほんの2,3分の距離でさえ、もしくは毎日の動線上の位置にあっても、本を借りることを億劫に感じる生徒はいます。
図書館に行く時間があるくらいなら一分でも多く友達と話していたい、早く帰宅したい、寝ていたい…まあ、わからなくもないですね。

しかし朝読書が学校教育である以上、原則として教材は前日に準備することになります。
学校の一日の始まりが朝の読書であるとするなら、朝読書の前に図書館を訪れることは道理にかないません。
司書の働き方の負担を考えても、図書館の早朝開館はナンセンスです。

図書館を色々な角度から活用してもらおう

そうはいっても、現実として本の準備問題は解決しなければなりません。
取られている処置としておすすめなのは「学級文庫」の設置と、学校図書館廃棄本の活用です。

「学級文庫」はクラス担任の私有本を設置してもよいし、クラスの図書委員が図書館からまとめて借りておく特別貸し出しでもよいと思います。

手軽に本を借りられる手段として、昇降口などに本棚を設置して「出張図書館」を作り、貸し出しノートに自分で記入して本を借りられるシステムはどうでしょうか。

同じ手軽さ対策として昇降口付近の本の返却ポスト設置もよいでしょう。

また毎年除籍本・廃棄本が出るようであれば、Take Freeとして生徒に進呈してもいいですし、学級文庫に回すということもできます。

図書館として支援できることはなにか

いまや学校図書館は既存の固定概念で囚われている存在ではなくなりました。
司書がいて、対面して本の貸し借りが行われることだけが図書館のあるべき姿ではありません。

活用されてこそ初めて図書館の存在意義があると言えます。
様々のアイディアで利用する機会を増やす、その手助けをするべき存在が司書です。
朝読書はまさに良いきっかけとなります。
新しい活動を通して、図書館を様々な角度から活用してみてはいかがでしょうか。

 

 

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