図書館の受験対策

なぜセンター試験はなくなるのか?問題点は何だったのか

年号も変わったばかりの令和2年1月、センター試験もいよいよ幕を閉じることになります。

新制度「大学共通テスト」の問題点がクローズアップされていますが、そもそもセンター試験の何が問題となって改善されることになったのでしょうか?

その問題点についてまとめていきたいと思います。

センター試験の役割とは

センター試験は、前身である「共通第一次学力試験」、通称「共通一次」を改善するものとして、1990年に第1回目が行われました。

共通一次の「1校1発入試」(二次試験を1度だけ受験)を緩和させて、二次試験を最大3回受験できる(前期・中期・後期)という形になったところが一番大きな変化です。

ここに至るまでには、共通一次の歴史が関係しています。

https://donguri5.com/interview/last-dnc1

センター試験の最大の役割は奇問難問を排除した、良質な基礎学力問題の確保」でした。共通一次の目的を引き継いでいるのですが、共通一次以前の大学が個別に行っていた入学試験では、優秀な学生を確保したいがために難問奇問を主題する大学が増加する傾向にあったのです。

また、生徒の学力低下を懸念して導入前年に5教科5科目800点だったところを、5~6教科7~8科目950点の受験を必須にしています。

これは受験の教科数を増やし、在学中の学力を底上げしようという目的でなされた措置です。

センター試験の問題点はなにか

では、共通一次を改善して作られたはずのセンター試験にどんな問題(受験することのデメリット)が持ち上がって、新テストに移行するのでしょうか?

選択方式のテストでは能力が測れない

時代が進み、知識だけを詰め込んだだけの人材では仕事が賄いきれないことが増えています。

つまり知識だけでは対応できないような、クリエイティブで柔軟な考え方の出来る人材を世の中は求めているということでしょう。

現在は、国内だけではなく世界で通用する存在となるために必要な能力は、記号の選択テストだけで判別できるものではないという考え方が広がってきました。

受験が高大接続教育の妨げになる

センター試験が高校教育総括テストになってしまうと、どうしても教育の内容に偏りが出てしまうことは必須ではないでしょうか。

言ってしまえば、卒業に必要な単位と出席日数さえ確保できれば、あとは学校は欠席して塾で受験勉強に専念する、という行動もあり得ます。現に進学校では、しばしばみられる光景です。

その結果、効率よく点数を取ることを中心とした勉強になり、大学に入学した後求められるスキル(例えばレポートを書く、論文を分析する、など)にズレが生じてしまっているのです。

そのズレた段差をなくすために、例えばAO試験などに多く見られるような論述的思考力を問う小論文などを課すことで、大学以降にもつながる学びの形があるのではないかと言われるようになってきています。

センター試験が「本番1回限りの試験」であること

共通一次・センター試験ともに「受験生に等しい基準で能力を図ることの出来る良質な問題」の確保はできていましたが、1回限りの試験で評価するスタンスは変わりませんでした。

どんな学生生活を送っていたとしてもセンター試験で良い点数を取れば大学に入ることが出来るシステムが、大学入学を目的とした形骸化した高校生活に繋がるのではないかという議論もあります。

また、インフルエンザの流行や震災が起こったりした場合にも対応がしにくい、出題の難易度が教科によって極端に違うときの措置(得点調整)が必要なことも、一回限りの試験であることから来る弊害であると考えられます。

その問題点を無くしていこうというのが考え方の主軸のようです。

残された課題と未来のこと

新テストに向けての課題とは

共通一次、センター試験を経て進む次世代の新テストですが、最大の課題は大学入試の公正さを如何に維持するかではないでしょうか。

センター試験におけるデメリットを解消するための記述式問題、論文形式、面接などはどうしても評価担当者の主観が入る問題があります。

点数化することも難しく、人が点数をつけるうえでの判断基準の明確化が求められるでしょう。解決する手立て自体が大きな課題です。

また数回に分けて試験を行うことで受験生や学校などのストレスや事務負担が増えることも考えられます。

場合によっては学習指導要領の改訂が必要な場合もあり得ます。それに伴うコストも無視できるものではありません。

現状と未来

ほとんどの子供が高校に進学する時代を経ての、大学入試の根底にあたる大学入試センター試験。

この制度を変えることは、これからの教育の未来に向き合う覚悟が問われているのではないかと思います。

制度を変えることにより、大学入学者の志が変わり、そして社会人となったのちの社会全体も変化していくことは目に見えています。

未来は彼ら学生が担っていると言っても過言ではありません。

そんな彼らの道しるべになるような良い指針を作る大人たちの目が今問われているのではないでしょうか。

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